ADSL未だ健在

「ADSLのモデムが壊れたので、交換してもらった。」
って話を某SNSにアップしたら、
「ADSLってまだあったんですか?!」
と驚きの声が返ってきた。

ええ、健在ですよ。
もうじき廃止されるらしいですが、私はとことんまで使うつもりです。
だから、モデムを交換してもらいました。
もちろん、某白犬銀行からは「この際、光に替えましょうよ~!」とか「エア〇〇に替えませんか?」って強力に勧められましたが、お断りしました。

なぜ替えないのか?
だって、今のスピードで十分だもん。安いし。
特に最近は皆がやめていってくれたお陰で、回線ガラ空き。
「わ~! 〇〇でアクセスが集中! 全然つながらん!」
って周囲が騒いでいた時も、余裕でサクサク。

一番大きな理由は、メタルの電話回線を残しておきたいからかな。
緊急時、停電になってもメタルなら電話が通じる。
光は、そうはいきません。
携帯やエアなんたらは、電波を使うので肝心のときに電波が混み合います。

それから、普段あまり意識していないけど、たぶん潜在意識の中にもうひとつ、大きな理由があります。
それはADSLの技術に対する感銘です。
畏敬の念です。

考えてもみてください。
メタル回線というのは、電話線。元々決して品質の良くない電話の音声を送るための必要最低限の容量しか持っていません。
そこに無理やりデータをのっけて送るのですが、最初は2400bps、簡単に言うと1秒間に2400個のデータしか送れなかったのです。まあ、電話線を使って送るんだから、これが限界だわな。と当時は思っていました。
ところが、ISDNという技術が出てきて、その同じ電話線に128kbps、つまり1秒間に128000個のデータが送れるようになりました。
これは凄い!!信じられない!一気に50倍速以上ですよ!
「♪急~げ、急げ、乗り遅れるな♪ ISDNはじめちゃん♪」
当時そんなCMソングが流れてましたっけね。
なんでこんな魔法みたいなことができるんだろう?と思っているうちに、今度はADSL。
ななななんと、8Mbps!
1秒間に8000000個のデータを送れると言う!
最初と比べると、3000倍速以上!!

へー。って。
いまいち、感激してないな。
あのね、これ技術者の目から見ると、凄い事なんですよ!
だって、データを運ぶ線そのものは変わってないんですよ。
そこにデータを載せる載せ方を工夫するだけで3000倍って!!

まあ、例えて言うならですね、
路面電車を走らせるために、明治時代に作った線路。
線路はガタガタで、最高時速は30キロぐらいが限界。

と思っていたところに、賢い技術者が来て、
「なーに、車両さえ工夫すればもっと速度を出せますよ。」
と言い出して、新しい車両を開発。
最新型の車両にあんな仕掛けやこんな技術を詰め込み、なんと、時速9万キロで走らせることに成功しちゃった、ってことですよ!

なに?ピンと来ない?
マッハ90。
サンダーバード1号より、アポロ宇宙船より速い。
東京ー大阪間わずか20秒です。

どうです?すごいでしょ~!

この、
「限られた条件下で信じられないパフォーマンスを出している」
という事実に震え、畏敬の念を示さずにいられないのです。

これが光だったらどうでしょう?
元々の線路が違うんです。
「路面電車のために作られたガタガタ線路」じゃなくて
「宇宙に張り巡らされた最新型の無限軌道レール」なんです。
それを使えば、250万光年先のアンドロメダ銀河まで1年で行けても、全然不思議じゃないんです。
だから、面白くないんです。

考えてもごらんなさい。
「サーキットの狼」(ふっっっる~~~~~~~!)にしろ、
「頭文字D」にしろ、
主人公の車、ロータスヨーロッパや86は元々そんなに高性能な車じゃない。
それでも主人公の神業的ドライビングテクニックやチューンアップで、1クラスも2クラスも上のライバルの車を追い詰め、追い抜く。
だから、ワクワクするんでしょーが。

演劇界のサラブレッドと言われ、あらゆる面で環境に恵まれた姫川亜弓に、何の舞台経験も無かった薄幸の少女北島マヤが挑み、努力し、やがて亜弓の座を脅かすところに、人は感動するんでしょーが。(まだ終わってないみたいだけど。。)

限られた環境下で、それまで不可能と思われていた最大のパフォーマンスを叩き出す。
これが、いいんじゃないですか!

ADSLには、それがあります。

だから私は、ADSLを使い続けます。

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