偏質的俳句鑑賞-第二百五十六回 高跳びの空じれつたくしておかむ-中原道夫『現代俳句 下』

高跳びほど空へ向かっていくイメージが強いスポーツは少ない。
まず、「高跳び」と提示することで跳躍するイメージが出てくる。そこに空がじれったいという擬人化が登場する。
なかなか面白い構造をしているが、「しておかむ」という着地も面白くて良い。
あくまでも、主体は作者にある。
空をじれったくさせているのは作者であって、しかも、あえてしているのだ。
それは「高跳び」というスポーツの中で発生する、空へ向かっていくという行為自体が持つ詩的な要素を汲み取った面白さの凝縮だろう。
次回も良ければ読んでください。

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