偏質的俳句鑑賞-第二百十一回 ストーブの錆色囲み夜学生-齋藤愼爾『夏への扉』

今年この句の作者は亡くなったので取り上げたく思う。
かなり古い夜学の光景だろう。「夜学」自体は秋の季語だが。「ストーブ」のほうが力が強いと思う。
この「ストーブ」は夜学の中心であり、この句の中心にある。
ストーブの火の色が実際に赤々と燃えていても、曖昧な「錆色」という読者に委ねられた色は、完全に読者の投影する印象に影響される。
夜学の大変さを投影するかもしれないし、実際に通っていた人なら懐かしさが投影されるかもしれない。そういう意味で「錆色」は言葉の選択として良さが際立っている。
次回も良ければ読んでください。

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