偏質的俳句鑑賞-第二百四十九回 暗黒や関東平野に火事一つ-金子兜太『語る 俳句 短歌』

上五の「〇〇や」形式には基本的には季語が入りやすい。
しかし、この句は「暗黒」を強調する。
そうすると「関東平野」は真っ暗になる。ここには平たく続く「関東平野」のイメージしかなく、ビルによってさえぎれることはない。
そうして一枚になった「関東平野」に点のように「火事」が現れる。
「暗黒」との光と闇の対比と「関東平野」という壮大なものと「火事」との対比の2つの対比で構成されている。
先日、東京から富士山が見えた。遠くにうっすらと山脈が見えたりする。やはり関東平野は平らなのだなという実感がこの句と一緒に流れ込んできた。
次回も良ければ読んでください。

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