偏質的俳句鑑賞-第百六十三回 ひとり聞くラジヲは秋のおさな唄-西東三鬼『西東三鬼全句集』

この句には「Ⅱ 子は入院妻は看護」という説明がある。ちなみにⅠは「ひとり子病篤し」ということが書いてある。
まぁ、前書きが前提にあるがそれでも悲しさが全面に押し出されている作品だ。
家族がいた家は、今は誰もいない。みんなで聞いた「ラジヲ」からは童謡が流れてくる。
親として子供に対する情がつきまとうのだ。
感傷的な面は西東三鬼という人物の中で混ぜられ、俳句の即物的なものに置き換えられる。そういう身の回りの物事を詠む態度を示す句だろう。
それだけです。次回も良ければ読んでください。

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