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句集を読む:『人類の午後』

『人類の午後』 堀田季何 2021邑書林
著者は「楽園」主宰。本書は第72回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞作

[章立て]
前奏



後奏

[好きな句20句]
本書の漢字表記は基本的に正字・旧字だが、以下の列記では原則として新字体を使用している。

戦争と戦争の間の朧かな
鳥渡るなり戦場のあかるさへ
ぐちよぐちよにふつとぶからだこぞことし
自爆せし直前仔猫撫でてゐし
花疲するほどもなし瓦礫道
花の樹を抱くどちらが先に死ぬ
花降るや死の灰ほどのしづけさに
懇ろにウラン運び来宝船
福笑絶望の表情もあれ
失踪の蜂なれば原子炉の中
とりあへず踏む何の絵かわからねど
淡雪は時間ゆつくり巻戻る
草摘むや線量計を見せ合つて
蝌蚪乾き少しだけ死にさらに死に
冰菓しやぶれ言ふべきことを言へぬとき
鳴くことをやめられぬまま蟬落ちぬ
冒頭に戻る音盤盆踊
人間を乗り継いでゆく神の旅
首振つて白鳥闇を受容れぬ
泳ぐなり水没都市の青空を

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