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句集を読む:『片翅』

『片翅』 高野ムツオ 2016邑書林
著者は昭和22年宮城県生まれ、多賀城市在住。「小熊座」主宰。
本書は著者の第6句集、全395句。

[章立て]
蝶の息 平成24年(2012年)
百燈 平成25年(2013年)
蕨手 平成26年(2014年)
甌穴 平成27年(2015年)
花の奥 平成28年(2016年)

[好きな句15句]
大皿のパエリア太陽一個分
冬に入る笹蒲鉾の弾力も
欠伸してこの世に戻る冬日和
億年の途中の一日冬菫
福島の地霊の血潮桃の花
生者死者息を合わせて今朝の海霧
人間の数だけ闇があり吹雪く
地震の話いつしか桃が咲く話
三陸の海霧怨怨と怨怨と
轍すら残らぬ時代鳥渡る
汚染土も帰るべき土霜の花
福島は蝶の片翅霜の夜
お降りや仮設長屋に原子炉に
せりなずなごぎょうはこべら放射能
生者こそ行方不明や野のすみれ

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