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句集を読む:『鳥雲に』

『鳥雲に』 池田義弘 2021文學の森
著者は昭和12年福島市生まれ、「暖響」「街」同人。
本句集は著者の第3句集、全446句。

[章立て]
楸邨忌 平成18年~22年
東日本大震災 平成23年~25年
天山祭 平成26年~28年
悪相の仏 平成29年~30年
鳥雲に 平成31年~令和3年

「平成二十三年三月十一日東日本大震災」という前書きのある一句
地震(なゐ)のあと身に揺れのこり梅ひらく
震災直後の瞬間を定型有季、字余りでも字足らずでもない十七音で詠んだ一句。「東日本大震災」の章ではこの句を筆頭に怒濤の震災句が続く。

[好きな句12句]
足音は畑の肥やし夏帽子
地吹雪のふつと止みたり猫歩く
D51のづ太き汽笛夏立ちぬ
地震のあと身に揺れのこり梅ひらく
菜の花はかなしみの色それを食ふ
フクシマは人体実験羽抜鶏
鶴ヶ城翼を広げ深雪晴
磐梯山を入れて卒業写真撮る
ふくしまは孤島のごとし蟬しぐれ
ふるさとの春や線路の継目音
羽音して文知摺石に忘れ雪
パンデミック土筆一斉蜂起せり

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