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句集を読む:『海図』

『海図』 佐藤郁良 2007ふらんす堂
著者は昭和43年東京生まれ、「銀化」副編集長。本書は著者の第1句集、第31回俳人協会新人賞受賞作。

[章立て]
調律師
海図
点景
最後の客
手話と劇薬
花野の駅
設計図

[好きな句 15句]
梅が香や禅寺の門閉ざされし
いくたびもポストを覗く花の雨
短日や窓に母待つ子の指紋
そんなには生きまい四万六千日
書初の手に遺伝子の流れをり
新雪へ踏み込む悔いに似たるもの
大寒をせつせと蒸かす中華街
風鈴の乱れて誰か来る予感
揚げたてのコロッケを割る雪催
友情の化石のごとき賀状来る
栄転と人は言ふなりふきのたう
薫風や線路を跨ぐ手話と手話
献血をして万緑を補給せり
サイダーのぬるむ大人の会話かな
敗荷やぽきんと今日を捨ててみる

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