現代語俳句 〜基本的な特徴と参考句〜
現代語で詠む俳句にご興味があるみなさまに、その楽しさや魅力をご紹介する記事です
俳句は現在、
・文語俳句=古典語俳句、伝統俳句
・口語俳句=現代語俳句、現代俳句
の大きく2つの傾向にわかれているようです。
以下は、それぞれの基本的な特徴です。
◯古典語俳句(文語俳句・伝統俳句)
・古い時代の文体(文語体)を基本にして詠む
・古典語を基本使用
・伝統的な切れ字 や・かな・けり 等
・575の定型・季語を活用
・歴史的仮名づかい
◯現代語俳句(口語俳句・現代俳句)
・現代語の文体(口語体)を基本にして詠む
・現代語を基本使用
・現代的な切れ字 よ・か・ぞ 等(要検証)
・575の定型・季語を活用
・現代仮名づかい
・現代の話し言葉そのものの詠み方も可能
例外はあると思いますが、主にこうした特徴があげられそうです。
現代語俳句の参考句 100句です。
現代語・現代仮名づかい・現代的切れ字を基本にして詠んでいます。
よろしければ、楽しんでいってください。
現代語 俳句
参考句
〜100句〜
春立つかひがしに筑波にしに富士
うぐいすの空をひらいてゆく声よ
つぎつぎとそら染めてゆく紅梅か
一つ一つちいさな地球木の芽吹く
イヤホンにぽんと触れれば春の歌
コンビニがうつくしい夜ぼたん雪
ひとすじにひかる大河の雪解けよ
さんじゅうは咲きでてくるか庭椿
一重咲き八重咲きすべて牡丹の芽
北を見ればどこまでも北鳥かえる
輪郭がだんだん富士よ春あけぼの
極東にあさいちばんのさえずりよ
じんせいにときおりよい日梅の花
ふるさとがみえてくるのは春炬燵
家族写真とおいむかしの春のまま
小ながれがもつれあってよ春の川
船旅よみなとみなとのはるかもめ
かもめとぶ沖にまで春およんだか
さいげつを波があらうかさくら貝
草もちのよくのびてこそひとり旅
凧の空この村はまだだいじょうぶ
じんるいのゆめのはじめの畑打よ
ひと吹きでもう晩年よしゃぼん玉
春満月そうつぶやいてしまうほど
ぼんぼりよあかるくくらく飾り雛
海女ひとりふたり歴史の波の間に
さえずりがさえずりをよぶ島々よ
鳩の空いのち見あげるあたたかさ
田の蛙かおだけだしてゆうばえて
寝について奈良は蛙のこえのなか
目にうかぶ満開のそらはつざくら
無になってながめる花よ花のなか
ふぶきだすそらいちめんよ大花見
花見してはるばると時こえゆくか
あおぎみて花あおぎみてよしの山
どの人も花とふぶいていることよ
はなびらの二十日ふぶいて吉野山
身のばして鳥さえずるかえだの先
そうぞうがそのまま都市に春の月
自動運転木の芽の道をまっすぐに
にしのそらひがしのそらよ凧合戦
顔上げていのちかんじている春よ
八重桜世がながながとあかるいぞ
あかん坊がはっと泣きやみ春の雷
千ねんとむきあう京ののどかさよ
春ショール天の香久山とおく見て
淋しさの行きつくところ奈良か春
いにしえの奈良のみやこの鐘か春
いままさに春日大社であることよ
おおさかを出ておおさかは春夕焼
なにがある大山があるあさざくら
わらわらと五百羅漢がかげろうぞ
総本山に喝がひびいてのどかさよ
若草か野はらから立ちあがるひと
とぶ蝶よ白とも黄ともひかりとも
地球から借りたからだで野に遊ぶ
熊本は阿蘇をはじめののどかさよ
花すみれ雲ぐんぐんととおくなれ
オカリナか山河にひびく春のおと
咲きのこる一つ二つよわすれな草
こえのかずだけのあしたよ卒業歌
そのはてにわらいがでたか卒業生
スカイツリーふぶく桜の上にこそ
花冷えの小川もっともせせらぐか
こんなにもそらふぶくとは花見舟
夜のそらをくらくともして花の宴
こでまりよ咲き越えている塀の上
ペルシャ猫ふわりと立上がる恋か
都市の空はるばると越え黄砂降る
この町よ春そのままにコーヒー店
ロケットが飛びたった空まさに春
せとないかい島からそらへ春の虹
世をつつむはるゆうやけの安心が
灯台よ瀬戸いっせいにはるのくれ
たからづか歌劇場じゅう春のうた
バンクシーの絵を飛立った風船よ
一人静咲けばかまくらものがたり
花虻につねにいちりん揺れやまず
ライオンが恍惚といるのどかさよ
マネキンのとわの静止よぼたん雪
ポーカーのそれぞれの顔どこか春
はるのほしいくせんまんよ天文台
旅客機よおおきなはるの月のなか
むかしからむかしのままか春の月
マンションの春灯やがて星のなか
この星に朝来つづけてさえずるか
さいげつのひとつひとつよ落ち椿
生きてゆくふる里じゅうの春灯と
たがやすか夕日のなかに影ひとつ
豊じょうのゆめひとにぎり春の土
ひるがえる黒また白のつばめらよ
かけてゆくじゆうな子らよ春日傘
ぜっぺきよしぶきをそらに春の滝
釣りびとも大きな海ののどかさよ
えんそくの子を海がよぶ山がよぶ
かえりくるふねいくつもよ蜃気楼
つぎつぎと引いてゆく波春惜しむ
まんげつをひとつ残して春ゆくか
このほしもほしぞらのなか蛙鳴く
ほしぞらよちきゅうひとつが遠蛙
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
*俳句については、個人・団体によって様々な考え方や見解があります
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