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さよならはエモーション

そのまま深夜の
コンビニエンスストア寄り道して

忘れたい自分に缶コーヒーを買った
レシートは レシートは捨てた

何かのインタビューで山口一郎氏は
起きたことをただそのまま歌って
それにいい感じのメロディーをつけた
と、言っていた(違ったらメンゴ)

変なところにリアリズムを発揮しちゃうから
その歌い出しにかなり感銘を受けた
それはもちろん同じ体験をしたことがあるからだ
でも細かくいうとレシートは店員が捨てた

確かその夜は梅か桜が見頃の
そんな季節だった気がする
アパートの前の木が花を咲かせるまで
変な形の木と呼んでたのは申し訳ない

道から見える自分の部屋の窓は暗くて
玄関のドアが閉まってると分かるには
時間はそうかからなかった
いつもと違うと心はざわつく

ようやく連絡が取れたのは
それから2,3日後だった
「なにも叶わないと思うから、
最初から会ってないことにしよ」

矢継ぎ早にいろいろ言われた
どうやら1年海外に留学に行くらしい
その間、人の心が変わるなら
変わることを知らないでいたい

分からなくもないけどさ
他人の人生に片足突っ込んだら
そう簡単に、はいそうですか
ってならないように生きてきた自負はある

あっという間と表現するには
1年は長いのか短いのか
空港に迎えに行くその日
おれは壮大に寝坊をした

再会の開口一番、この前もしたでしょ?って
笑っちゃうくらい自然にブチギレられた
こういう時はひたすらに謝るのが1番
悪いと思ったらその時点で勝ち目なし

変な形の木の正体を教えるから
今日のところは許してくんねぇかな
1番うまい日本食作るからさ
明日一緒にスーパー行きてぇわ

明るい未来を想像するように
その日、部屋が暗くなることはなかった

佐藤暉

p.s.
優先席に座った人たちへ
別に気にすんなよ

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ルール6
ラブ&ピースは......一時中止だ。

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