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短歌「月と金星」

三日月が寄り添ふごとく金星が輝くゆうべ母の許へ帰る

 天文少年であった私だが、星空を見上げることが少なくなった。生まれ育った山間の町に比べ、いま住んでいる場所は地方都市とは言え夜も明るく、星があまり見えないせいもあるが、それよりも星空を見上げるこころのゆとりがなくなっているのだろう。

 そんな私でも、月や金星が空にあると、しばしは足を止めて見入ることが多い。月と金星が並んでいる光景などは、やはり足を止めずにはいられない。

 ところで月と金星、どちらが母で、どちらが私だろう。月が母で、私が金星だと思う。自分を金星に喩えるのはおこがましいが、月は「衛星=まもる星」で、金星は「惑星=まどう星」だから。

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