義弟のこと⑫

・「男手がないのでいろいろやることがあるので早めに来て」と奥さんに言われてきてみたものの、それほど「男だから」と言ってやることはなかった。実は2日後の納棺前の時間に、可能ならリモートで取材をしようと目論んでいたのだが、この調子なら実施できるかもしれない。
・その日の夕食はマグロ、カツオの刺身攻め。食べてくれる人数が多いと、用意をばあちゃんもうれしそうだ。
・義弟の容態の変化などについて話しつつ、食べる。うまかった。
・「○○君(義弟)、あっという間でしたね」と、ばあちゃんに言うと、「私らも驚いたんだよ~」という返事。状況が悪いとはわかっていたけど、ここまで早く亡くなるとは、私を含め、親族みんな思っていなかったというのがこれまでの私の認識だった。
・しかし、義弟の嫁と話したうちの奥さんは、何やら違和感を持っていたようだ。我々(私と奥さんと息子)は、今年の正月に実家を訪れた時、退院して自宅で療養をしていた義弟が家の周りに散歩に出たところにたまたま出くわし、彼と二言三言会話をしていた。
・彼は、たどたどしい口調ながら、「これからは少しゆっくりして、リハビリやっていくから」と言った。悪くすると、もう二度と彼と会えないんじゃないかと思っていたので、彼と別れてから、私は車の中で泣いた。
・奥さんと義弟がお義父さんの世話をどうするかについて揉めて喧嘩して、コミュニケーションが少なくなっていた。彼が復帰したら、そのあたりのこともよく話し合って、関係修復しなくちゃ。そう考えた時からたった2か月。彼と話し合うことは二度とできなくなってしまった。


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