これは、4歳の頃から毎年見ている夢の話です。
 決まって誕生日付近1週間、同じ夢を見続けます。
夢は病院だと思われるフロアに1人立っている場面から始まります。
 夢を見始めたのは4歳の頃ですが、その頃からなぜか、夢の中の自分自身は31歳でした。なぜ31歳だとわかっているのかはわかりませんが、そこに違和感を感じたことはありませんでした。
 そのフロアは、中心のナースステーションを囲むように、ロの字型にカーテンでしきられた個室が並んでいます。一画5名、合計20室です。
 立ち尽くす夢の中の私は、ここから誰かを探さなければらないと焦っています。意を決したように、夢の中の私は左側の個室から、一室ずつ確認し始めます。
 夢を見ている方の私は、いつの頃からか、次の個室にはどんな人がいるのかわかるようになっていきます。次は頭のてっぺんから爪先まで包帯ぐるぐる巻きの人、次は点滴してるおばあちゃん、といった感じで。同時に、何かにとても怯えています。
 夢の中の私は、感覚としては1分ほどの短い時間で20名確認し、そのまま階段をかけあがり、1つ上の階に登っていきます。夢の中の私も、夢を見ている私も、息がつまりそうなほど苦しく、緊張しています。
 1つ上の階にも、同様のフロアが広がっていて、先程と同じように確認していきます。1つだけ違うのは、1つだけ空室があることです。2つ目のフロアの左から3つ目の個室です。夢を見ている方の私は、毎年その個室を開ける時に一番恐怖を感じています。
 合計39名の確認を終えた夢の中の私は、エレベーターで地下に降ります。そこには薄暗いシャワールームがいくつも広がっています。そこで私はシャワーを浴びます。夢を見ている方の私は、5階にもっといいシャワーがあるのに何でこっちで浴びているんだろうと疑問に感じています。
 シャワーを浴び終えた私は、家に帰るために病院を出ていきます。エントランスには、球体のオブジェがおいてあり、その回りに小さな噴水があります。病院の前には病院と平行に道路が走っていて、左右どちらからでも家に帰れることを知っています。
 ここからが少し不思議なのですが、夢を見ている私の方が、夢の中の私に指示を出せるのです。今日は右の方から帰ってスーパーに寄る。左から帰った方が早い等と。断言しておきますが、夢を見ている、現実世界の私は、夢の中の町を知りません。実際、一度もいったことがない町なのです。でもなぜか、どこに何があり、どの道を通って帰るべきかを知っているのは、夢を見ている現実世界の私なのです。少なくとも、そう感じるのです。
 そして、知らないはずなのに知っている町を、体感で10分ほど歩き、ある家の扉を開けたところで毎回夢は終わります。
 
現在26歳の私は、1っか月後に22回年目156回目の夢を見始めます。私が実際31歳になったとき、この夢はどう変化するのでしょうか、今から怖くて仕方ありません。