見出し画像

Academic Writing①良いエッセイの条件、読み手の期待【エジンバラ 大学留学:後期】

はじめに

Semester2からAcademic Writingの授業を取り始めました。本当は、Semester1に大学が無償で提供するELSIS(English Language Support for International Students)のコースで取る予定だったのですが、前回は応募時にはすでに満席で断念しました。代わりにまだ空きの席があったNote takingというコースをとったら、2時間の6人くらいの少人数クラスで、かなり良かったです(少人数性なのでわりと応募締め切りがあるようです)。エジンバラに入学した際は、取るのをお勧めします。後期のAcademic Writingは、僕が所属するMoray House(教育学部)が5週間にわたり提供するプログラムです。レクチャーを見て、宿題をやって、40分程度のセッションがあります。

Academic Writing(エッセー )ついての悩み

Academic Writing(エッセイ)については、かなり悩みが多くSemester1にも苦しめられました。具体的には、Writing表現以外に
1. エッセイで何が評価されるのか(自分の意見?授業でやったこと?引用の数?)
2. いつもCriticalにDiscussしなさい、Strong argument, evaluateしなさいっていうけど、それ何をすればいいの?
という根本問題について、考え悩んだSemester 1でした。

上記の問について、自分なりの見解は出したのですが、昨日Academic Writingの授業を見たらかなりよく纏まっていて、おそらく皆さんも同じ悩みを抱えているかもなということで、今週のNoteにしたいと思った次第です。一応補足として1部の原文も記載しています。
では、ここから授業の内容を要約と自分なりの理解を記載します。この授業は、Week 5まであるので、今週は第1週目のみです。

Week 1 テーマ:採点者の期待

Week1の授業でやることは以下の通りです。
(1)採点者の評価基準を考える
(2)採点者からのフィードバックの意味をきちんと解釈する
(3)Strong argumentをする 〜批判的に、ロジカルな理由づけをする〜
(4)どうやってバランスの良いArgumentをするか
(5)批判的な検討(これは詳細はweek 4にやるとのこと)

(1)採点者の評価基準を考える

授業によれば、採点者の基準は11項目。ざっくりまとめると
①主要なコンセプトの理解を示す(授業でやったことの理解)
②十分な背景知識を示す(適切な引用)

③明確なストラクチャー(通常のエッセイなら、イントロ、ボディ 2-3、結論って感じでほぼ決まっていると思います)
④異なる視点からの意見とロジカルなティスカッション
⑤理論が政策や実践に及ぼす影響を認識している証拠(考察、自分の気づき)
(以下は少しテクニカル)
⑥英語の文章力(Academic writing)
⑦リサーチクエスチョンが明確、データ収集が適切、データ収集が適切、発見したことがよく議論されている等々。(詳細は最後に貼り付けています)
ここで自分が大事と思ったのが、
①、②、④、⑤です。
①は授業でやった内容を意識的に盛り込むこと、
②は、有名な人、大家の論文をなるべく引用することで解決するのかと思っています。②と④は関係してくるでしょうね。過去研究で、賛成反対(あるいは限界)を整理する感じになるのでしょうか。
④のロジカルなディスカッションは、本稿の後半で記載します。
⑤は今のところ、人の考え+自分の考えといった感じでしょうか。

(2)採点者からのフィードバックの意味をきちんと解釈する

ここは、わりとさっくと行きます。Feedbackは、わりとどの採点者もやってくれるのでよく見ましょうという話。ただ、採点者次第でかなりその精度は違いますよね。実際は、そんなコメントをくれない場合があります。個人てkには、Proof readingのFeedbackが有用でした。とりあえずPositiveなコメントとNegativeなコメントを分けて見ましょうくらいの話でした。

(3) Strong argumentをする〜批判的に、ロジカルな理由づけをする〜

-批判的になるとは?(Week 4でやるはずですが、ここで出てきたので、記載をしています)
”クリティカルライティングの目的は、文献の中で著者が行った仮定を特定し、その仮定に疑問を投げかけたり、挑戦したりすることで、その結論に十分な証拠が提供されているかどうかを評価すること。”
つまり批判的とは、一回疑いなさいよということ。その上で、ディスカッションして評価しなさいよと。
Discussionは、まず(A) 主張に対して、(B) Fact・エビデンスがあって、(C)ロジック(判断基準となる)がある場合、(A)ー(C)のそれぞれについて別の考えもあるよねという形で、議論を展開させることと理解しています。つまり、(A):筆者の主張に対して、いや、こういう意見もありますとか、(B):その証拠のここの解釈おかしいですよ、サンプル数が十分じゃない可能性ありますよとか、(C):ロジック(理論)について、他の人はここが欠点と言っていますとか。特に(A)や(C)について、他の研究や自分の考えを参照して、Discussさせることが重要という理解をしました。

次に重要なのが”評価”ですよね。ここでいう評価とは、(A) 主張に対して、(B) Fact・エビデンスがあって、(C)ロジック(判断基準となる)に当てはめ、結論が妥当かを評価すること(例えば、上記の議論について私はagreeする。なぜなら、この基準に事実を当てはめるとこのような結論となるのような形式で記載)と理解をしました。この(A)ー(C)を論文を読むとき、書くときにきちんと意識するのは大事ですね。(A)ー(C)で矛盾があれば、妥当な結論でないと言えるはずです。また、ここで自分の評価+自分の考えを述べることで、(1)で記載した評価基準⑤理論が政策や実践に及ぼす影響を認識している証拠(考察、自分の気づき)も満たせると思います。

繰り返しですが、重要なことは、(A) 主張(B) Fact・エビデンス(C)ロジック(判断基準)の区分をきちんと自分でまず整理することだと思いました。

-Strong Argumentの構築:3つの議論の方法とそのうちの1つの ”Logical Reasoning”についての補足。(あまり重要でないので読み飛ばしてもOK)

まず議論の方法は大まかに3つあります。
①Logical Reasoning
②関連する分野の権威ある研究者の出版物から情報を使って議論する
③自分でデータを入手して、議論をする
②、③はわりとわかりやすいですよね。個人的には③に含まれる財務データ分析がわりとやりやすいなと思います。

①Logical Reasoningが少しわかりにくいので、授業では補足されていました。①Logical Reasoningですが、以下の順番で行われます。
 (a)自分の経験や知識に基づいて小論文の問題に対する自分のスタンスを考えてる。
   (b) 文献を調べて自分の意見を裏付ける証拠を見つけようとすること。

要は、テーマがあったときに、自分の中で解釈して、仮説を構築して、それに合わせて適切な論文なりを探していくという感じでしょうか。

レクチャーでは、この方法はIELTSやTOEICなどのショートエッセイではよく使われるけれども、マスターの論文を書く場合は、まずは過去研究のリサーチから始めるからこの方法は有効でないという説明でした。これは確かにそうですよね、実際の仕事でも仮説に行く前に、少しは情報収集してから仮説を立てる気がします。事前情報収集の程度の問題という感じです。

Logical Reasoningの方法を理解するためにtaskでは、
以下のEssay titleについて、どんな批判的な質問するか(仮説を連想していくきっかけ)みたいなことが出ていました。
“What are the benefits and risks of using the Internet as a source of information when writing assignments for Master’s programmes?” 
("修士課程の課題を書く際に情報源としてインターネットを利用するメリットとリスクとは?" )
Answer:
どのようにインターネットとその他の情報を比較するの?
なんでインタネットが便利なの?
インターネットって信頼できるの?
なぜインターネットがトピックなの?みんな生徒は使っているの?等々
ポイントは、5w1hに沿って質問を考えていく感じでしょうか。そうすればわりと漏れなく、はずさない質問ができると思いました。


ここの整理とは少し違いますが、僕のイメージでは、Logical Reasoningアプローチ、仕事で使う仮説思考アプローチやアカデミアのアプローチの棲み分けは以下のようなイメージです。
◆ Logical Reasoning: 事前情報を調べずいきなり今の知識だけで仮説構築→Logical Reasoning
◆仕事で使う仮説思考アプローチ:1日くらい関連する情報集めて仮説構築→仕事など、普段の方法のアプローチ
◆アカデミアのアプローチ:十分な過去研究をして、整理をし、研究されていない分野であることを研究した上で、自分の考えを模索

(4)どうやってバランスの良いArgumentをするか

バランスの1つ目の意味は、様々なセクションにどのくらいの語数を割り当てるべきかを考慮することです。大体ストラクチャーごとで文字数は決めるのでそこまで偏ったバランスのエッセイはないと思います。とはいえストラクチャー内でどのような Discussionをするかをここの時点である程度考える必要があります。
その場合、テーマのPro/Conを比較してみるのがいいと思います。Pro(メリット)はわりと出しやすいので、うまく対比するには、後ろCon(デメリット)の方に注目すると、議論としてはよくまとまるかもしれません。これはこのレクチャーの宿題をやりながら気づいたことです。(宿題のテーマは、修士課程論文作成時のインターネット利用による情報収集の良し悪しについて。いいところはたくさんありますが、議論をするとなるとまずは、ネットの情報収集の問題点に着目した方が議論としてはまとまる感じがします)

バランスの2つ目の意味は、主張をバランス良く(公平に)しましょうということです。(ここは超重要!!!)
読者に自分の主張を受け入れてもらうために、強力なロジックの展開だけでは不十分。効果的な議論には次のことを行います。 
①まず自分の主張の理由や証拠に対する反論(限界や、リスクでもOK)の可能性を予測すること。  
②それらの反対意見を示す。  (Another argument against A is〜) 
③反論の反論 (However, But,....)※より主観的な主張でも可。その場合、may, could のようなHedge表現を使う。
つまり、自分の主張を行い、それに対する反対意見を探し、さらにそれを論破する三段論法が重要ですよということですね(超重要)。


このレクチャーでは、実際の文章も載っていました!!こうした具体的な事例を示してくれるのがすごくいいと思います。原文は最後に載せています。
ざっくりとした内容は、

①IELTSの試験って、実際学術の場だと、コミュニケーション能力を表す指標でない(引用を使って著者の主張を行う)。
②反対意見:他の人は、IELTSには色々な国のアクセントも反映されていて、コミュニケーションを図る指標として有効。
③②への反論(翻訳しづらい)。英語の多様性は、国際的な学生間ではバックグラウンドが異なる生徒間でコミュニケーションをとる際に直面する実際の発音は表すことができない。(引用複数)
④(さらなる補足)大学院レベルでは、留学生は英語を母国語としない人たちと一緒に授業を受けたり、ピアグループで交流したりする可能性が高いので、この効果は強調されるかもしれない(引用)

なんで急に発音の話になるのかという点は置いておいて、議論の展開をしては納得感のあるものだと思いました(先生に質問したら、確かに議論の展開とis手は100噛み合っていないよねとの回答でした)。特に③と④は、なるほどと思った。③で十分な引用を取っておいて、④はより主観を入れてもいいとのことです。そのため、ここではHedge 表現を使いましょう。

授業の後に追加された説得力を出す論法:”Concession”

このサイトを見ると、要は一度認めておいて、だけど、これはこう思うというって反駁する方法と理解しました。

”パパ、友達と他の国に旅行に行くのはお金がかかるし、安全ではないかもしれないわ。だけど、この一年一生懸命勉強してきたんだから、休暇を取るのは当然だと思うの。私がどれだけ責任感を持って生きてきたか、あなたはもう知っているでしょう。”

→一度相手の反論を先に認めてしまってから、先に反駁する。

最後に


いかがだったでしょうか。まだWeek 1ですが、個人的にかなり重要だった(目から鱗)のことも多かったので記事にしてみました。特に採点者の基準、評価の意味、バランスのところのディスカッション 部分は大事だったと思いました。結構予習が大変ですが、授業も少人数なのでこれからWeek2と続きますが、楽しみです。(なお毎週これに加え、エッセイの宿題もあります)

参考(原文の1部)

(1) Criteria of Assiment

画像1

(2) Understanding marker feedback(緑がpositive,赤がnegativeなフィードバック)

スクリーンショット 2021-01-16 10.58.05

(3) Constructing a strong argument: Logical Reasoningについて
Sample essay title:
“What are the benefits and risks of using the Internet as a source of information when writing assignments for Master’s programmes?” 

に対しての、質問

画像3

(4) Creating a balanced argument: balance in argument

1. anticipating possible objections (“counter-arguments”) to your reasons or evidence  
2. showing that you have considered those objections  
3. refuting the counter-arguments 

Discussionの例(青が主張と反論の反論、黄色が反論)


スクリーンショット 2021-01-16 10.56.30

練習問題からの具体的なFeedbackからの学びや気付き

(1)いいイントロの書き方の例
問題
Essay title
There is a commonly held and oft-stated belief that early L2 learning leads to better language learning and that L2 learning success declines with age. To what extent is this assumption justified by research evidence? Given this evidence, what in your view is the optimum age for L2 learning?
この題に対して以下のどちらがいいイントロか。

Text 1 Introduction
… This essay will review the research on L2 learning and will critically discuss the effects of age of acquisition on successful second language learning. By analysing the available evidence, a conclusion will be reached with regard to the optimum age for learning a second language.

→この場合、単にタイトルを繰り返しているだけ。

Text 2 Introduction (Goodな例)
… This essay will review the research in these areas and relate them to the current discussions on the matter, namely with regard to the focus on ultimate attainment (UA) and native-like proficiency, which is increasingly relied upon to measure L2 achievement. …
In evaluating the data and methodology used to assess L2 proficiency there will be a discussion to establish if a specific optimum age to begin L2 acquisition is uniformly applicable.
→Text2の方がいいと思う。なぜなら、
①評価基準をどうするか明示(ultimate attainment (UA) and native-like proficiency)
②何(目的)をどの基準で判断し、何をディスカスするか明示。
気付きまとめ:結論に向かいHow DiscussとWhat Discuss、を明示する。(主張、事実、ロジックをきちんと示す)

例えば、First, a comparison between the traditional library and Internet resources will be offered;

→何を比較するしか書いていない(事実のみの記載)。本来は、なんのために(目的、主張)、どの基準で、事実と比較するまでの記載があるといい。

(2)よくありがちな指摘。日本人がやりがちな、主張に説明が足らないという指摘。
Internet resources give some useful indications
→useful indicationsだけでは伝わらない。(of what?という指摘)。
Sは、Oを与えるという主張の場合、Oをきちんと明確に書く。

(3) 本論の限界の記載は要注意。読み手を混乱させる時がある。きちんと相手の反論を意識して書く。

例えば、”It is not the purpose of this study to deal with other fields of research, but rather to practise to learn how computers can help one’s Master’s degree study”の記載については、なんでこれをいう必要があるか不明。相手の反論を想定した文章になっていない。研究の限界は書く必要があるけれど、注意して記載する。(記載をわざわざしない方がいい時もある)

(4) Descriptiveな引用はダメ
引用はあくまで、なんのためにするかを明確にする。この引用は何を評価するためのものか。また、自分でまとめて記載する。

(5)読みやすい構造にする。

今回の宿題で同じテーマについて、3人の生徒のエッセイを読んで分かったのが、結局まずは読みやすいテーマをきちんと書きましょうということ。

読みやすいとは、詰まるところ主張、事実(データ)、方法がきちんと読み手にわかりやすく伝わること。読み手に期待を抱かせ、それ通りに記載し、読み手を説得するプロセス。いかに少しまとめてみました。

①イントロで、きちんとこの論文では何をしますが明記されていること。(主張、データ、方法を明記)
イントロは、一般論の利点と問題点→個別論この論文の目的はこうです。構成は、〜といったみたいな流れがよい。(一般論→個別論は常に意識)

また、この時点で自分の立場をきちんと明確にする。(Conclusionの記載も意識する)

<各ボディの流れの一例>

◆一般的なPro/Con
◆個別状況の議論
◆どうやって改善するか


◆(Body1 ) 賛成意見
◆(Body2) 反対意見
◆(Body3) さらなる反論、Concession

②各ボディで、文頭でXXXの観点から、分析します(主張)と記載して、その通りに展開する。読み手の期待に応える形。

③各ボディの1つの主張に対して、議論を行う。反論は、リスクや限界という視点でもOK! 主張、反論、再主張。この際に、さらに自分の考えまでつけて評価まで行えるとGood!!!

④信号語を使って、議論をわかりやすくする

⑤ボディの見出しは、太字で独立させてわかりやすくする

⑥再主張の際、自分の主張は、まろやかに。攻撃にならない感じで相手を説得する。(否定ではなく、may, can等で表現)


参考英語表現(Counter argument)

画像6



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?