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修士論文の自分なりのアプローチ方法①リサーチクエスチョンからMethodology までの奮闘記

こんにちは。4月の終わりからDissertationの執筆期間に入っています。

僕の場合は、提出日が8/20日(学部によって異なる)なので、最初のうちは全然時間があると思いながら、余裕をかましていたらいつの間にか7月になってしまい焦っています。

5月、6月は何をしていたかというと、就活をしたり、インターンをしたり、論文をちょぼちょぼ進めたりと何もしていなかったわけではないのですが、論文を本気でどうしてもやる気が起きずダラダラと過ごす日もありました。(なんてもったいない!と思うんですが、期日が近づかないとやる気が起きないのは世の性人の常ですね)

この記事では、将来また論文を書く時に役に立つかもしれないので、今回学んだ自分なりの修士論文のアプローチ方法について書こうと思います。

エジンバラの僕のコースで求められる論文の字数

エジンバラの僕のコースで求められる論文の字数は、15000字で、大体の構成は以下の通りです。なお、7/8日時点でMethodologyを書いています。

Introduction1,000- 1,500
Literature review5,000
Methodology2500(今回はここまでの話)
Result and Discussion5000-6000
Conclusion1,000- 1,500

これまでの大体のスケジュール感

4月
自分の研究計画書を1500字くらいで、Course Directorに提出し、それを見てSupervisor(指導教官が決まります)。

そして、Supervisorと面接をして大体のスケジューリングをします。

僕の場合は、Supervisorが割とフレキシブルなので、2週間に1回くらいミーティングをしています。おそらく期限が近くなれば、1週間に一度くらいになるかもしれません。僕の学部は、ミーティングに制限はないですが、他の学部だと先生の負担を考えて、一人4回までとか結構厳しいところもあります。
5月
ダラダラとリサーチクエスチョンを意識しながら、情報を検索。リサーチクエスチョンも変わる。(大幅には変わらないですが)

6月

日本語でイントロと、過去研究をまとめ始める。
6月末からMethodologyを開始。

7月
Methodologyを書く

元々では、5月中に過去研究を終わらせ、6月2週目くらいまでにはMethodologyと思っていましたが、現在3週間くらい遅れています。

遅れた理由は、先ほども述べた通り、就活をしたりダラダラやっていたりしたからです。最近になっていよいよやる気が出てきました。というか、Supervisorとのミーティングがあるので、それに合わせてやる気が出ます。

今の予定では、来週の月曜日までにMethodologyドラフトをなんとか形にしたいなと思います。

それで、7月中には、Discussion Partをかきあげ、一度まとめ直すのが目標です。

最初にすること

まずはなんといってもリサーチクエスチョンの設定。
この段階では、変わるだろうなくらいでOKだと思います。
ただ、自分が何に関して興味や問題意識を持っているかは変えないほうがいいと思います。

例えば、僕の場合。
Jリーグの 各チームが、Covid-19下で全フットボールチームが試合ができなくなりました。その条件は一緒ですが、1年経つと各チームのアクションや、財務的な数値は異なります。これはなぜか問うことに興味がありました。

最初は、危機の中で、組織ごとに柔軟性が異なるのはなぜか?みたいなリサーチクエスチョンにしていました。せっかくスコットランドにいるので、スコットランドのチームの研究も面白いと思っていました。あとは、Jリーグのチームとの比較にも興味がありました。

しかしながら、このリサーチクエスチョンでは、少し考えただけで以下の問題がありました。(研究計画書段階で気づけよという話ですが)

①比較前提が大きく異なる違う国のリーグを比べられるのか。
②リーグ全体を比較するのか、個別チームを比較するのか。
③①、②とも関連しますが、リーグの開始時期が異なる場合、コロナの影響を受けている期間も違うので、比較できるのか。個別チームのデータを全て入手することは現実的か。特に英語の場合、膨大な時間がかかる。
等々。

結論としては、日本のJリーグに絞ることにしました。

Jリーグであれば、比較的情報が入手可能かの”あたり”もつきますし、何よりJリーグが各チームの経営情報をきちんと公開してくれています。
そのため、データ収集の時間が大幅に削減されます。


プレミアやスコットランドプレミアリーグだと、各チームのウェブサイトにアクセスし、自分で収集というデータ収集だけでとんでもない手間がかかるのです。
重要なことは、できそうなことから始めるという発想だと学びました。(この発想があると、無駄なことを調べないので時間をかなり節約できる)

将来もしかするとこの研究を他のリーグにも当て嵌めることができるかもしれないので、Jリーグのみに着目する事は無駄にならないと思います。

リサーチクエスチョンの洗練、フレームワークの決定、データ入手の可否、インタビュー内容の決定

以下のステップで進めるのが個人的には合っていました。

Step1
ぼんやりしたリサーチクエスチョン(ざっくりした仮説)
→五里霧中の中、情報収集と基礎的な知識の理解
→なんとなくイントロを書き出し、過去研究をまとめる。
Step2
過去研究をまとめる→基礎的な知識が身につく→リサーチクエスチョンが洗練される

という逆転現象が起こります。この流れを理解することがこの記事の一番大事なことです。

ちなみに、この一連の流れの中で、僕はリサーチクエスチョンを、以下にしました。

RQ1. Covid-19をトリガーとした危機に着目し、J.LeagueのDivision1に所属する各クラブのレジリエンスはどのくらい高い或いは低いのか?

RQ2. 高いレジリエンススコアを持つJ .Leagueのクラブは、どのような要因や構造によりレジリエンスの強さ違いを生んでいるか?


個人的な反省としては、基礎情報の収集を多分3−4週間くらいかけ、全体として2ヶ月くらいかけていた事ですね。(ダラダラやっていただけです)

ここまで2ー3週間くらいでやれれば、かなり効率的なのではないでしょうか。多分そんなに頑張らなくてもできると思います。

Methodologyを書いていく

ここまでくると,過去研究から大体どんな分析フレームワークがあるかの検討がつきます。

あとはそのフレームワークの各指標に必要なデータが入手可能かどうかを検討するだけです。

といっても、ここがかなり重要になります。データが入手できなければ、フレームワークも使えず、スタートに戻ってしまうので。

例えば、財務的な指標であれば割とわかりやすいですよね。

では、オペレーショナルレジリエンスを図るためには、オンライン上にあって、入手可能などのようなデータを入手すればいいでしょうか。

ここは、筆者の考え方、合理的な説明、データが入手可能か否かで変わってくると思います。(センスの見せ所)

ちなみに僕は今回オンラインだけで情報を集める方法なのでかなりセンスが問われますが、インタビューや質問表を送って行う場合は、質問項目を事前に設定できるのでここはそこまで考慮しなくていいかもしれません。

インタビューを行う場合は、ここまでやって初めて聞く内容のがぼんやり固まるのだと思います。そのため、より効果的なインタビューをする場合はかなり早くから準備する必要があると思います。

実際は、インタビューに時間ががかるので、みんな一般的な情報を聞いて、早めのスタートをしているみたいです。

ただ、インタビュー後に万一リサーチクエスチョンが変わりインタビューが使えなくなる事態が生じたら、もう最悪ですよね。その事態は絶対に避けなければいけません。(想像しただけで胸が締め付けられます)


最後に外部データを用いる場合とインタビューや質問表を送るのメリット、デメリットをまとめます。

まず外部データを用いる場合のメリットは、再現性が高く、サンプル数も多いケースが多く、外部検証しやすい点にあります。
デメリットとしては、必要なデータが入手できないことがあります。例えば、リーダーシップはこの組織で強いか、組織文化は浸透しているかといった定性的な内容から、テクノロジーにどのくらい予算をかける予定かといった内部情報はなかなか入手できません。
一方で、インタビューや質問表のメリットは、必要なデータが入手しやすい点にあります。例えば、定性的なデータを対象から直接聞けたり、内部資料を入手できる可能性があることです。
逆にデメリットは、サンプル数に限界がある、アポイントを取るなど手間がかなり生じる、外部検証が難しい=再現性が低いということが挙げられます。


Methodologyパートまでの奮闘は、こんなところです。

とりあえずMethodologyまで早めに上げてしまうことが、論文を書き上げるコツな気がします。

では。

<追記:リサーチクエスチョン、リサーチデザイン、過去研究について>

Successfully completing case study research:combining rigour, relevance and pragmatism

という論文を読んでいて、リサーチクエスチョン、リタラチェーレビュー(過去研究)、リサーチデザイン、リサーチメソッドの考え方や順番について少し整理したので、備忘記録をして記載します。本章と重複もするのですが。

①ぼんやりしたリサーチクエスチョンを立てる(興味本位でOK)
→なぜ興味を持ったのかを明確にしておく。(ここがぶれてはダメ)

②リタラチャーレビューする。知識を吸収。
→ここで、研究されていない分野

③リサーチクエスチョンを洗練させる(以下①、②、③はループ)

③リサーチデザインを考える(リサーチデザインは、リサーチクエスチョンとリサーチメソッドの間のギャップを埋めるという重要な役割)→パラダイムが一貫しているかを意識。

リサーチデザインとは?
リサーチの計画書のようなものですね。Methodology Partのドラフトを描くイメージです。
https://kotodori.jp/research/research-design/

④リサーチメソッドの検討。(インタビューとか)



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