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おんなじ足

去年の夏、2人で酔っ払って、誰もいない公園のベンチに座った。


「知ってる? 芝生って、裸足で歩くと気持ちいんだよ」


彼はそういうと、履いていたサンダルを脱いで、芝生を歩き出した。


夏の、暑い日だった。
虫が草の中にいるかもしれない。
小さい頃、裸足で虫を踏んでから裸足で地面をあることに少し抵抗があった。


不安がる私の手をとって、
「大丈夫。楽しいよ」と、2人でぽてぽて芝生を歩きだした。


冷たい葉っぱと、柔らかい感覚が足の裏から伝わる。
彼の足を眺めながら、小さい頃読んだ、囚われの女の子を助ける少年の物語をふいに思い出していた。


「案外いいでしょ?」


彼のサンダルにスマホを置いて、2人で動画を眺めた。


タクシーのおじさんがタバコを吸って、背中を向けている。



それ以外、人はいない。
大通なのに、この日は車通りも少ない。


裸足で、ふさふさ葉っぱを撫でる横で、虫のなく声が聞こえる。



足の指が長い私たち。そっくりな足の形。
私の苦手を克服してくれた日。

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