2020年代の友部正人

『あの橋を渡る』(2020年リリース)

01. あの声を聞いて振り返る
02. 一月一日午後一時(高橋さん)
03. モスラ
04. ただそれだけのこと
05. ニューヨークの憂鬱
06. ブルース
07. バレンタインデー
08. 電車の中では何もしない
09. 船長坂
10. 空の鰯

2016年から始動した3KINGS(鮎川誠、三宅伸治、友部正人からなるユニット)で、実況録音盤『3KINGS SING THE BLUES』(2018年リリース)、初のスタジオ録音盤『王様のノイズ』(2019年リリース)を発表するなど、勢いとどまることなく精力的に活動を続ける。
ニューヨークから仙台へ第二拠点を移した生活がこのアルバムにも大きく反映されている。奥さんでありマネージャーのユミさんの発案で、東北で生まれた歌が多いから東北でレコーディングをしよう、とすべての収録曲が東北各所で録音されている。お洒落なことを考えるなあと思う。
おおはた雄一、マヒトゥ・ザ・ピーポーなどがこのアルバムに参加している。

前作『ブルックリンからの帰り道』の発売前後に既にライブで歌っていた曲も収録されている。「バレンタインデー」「ただそれだけのこと」「船長坂」あたりがそうだったと思う。「ただそれだけのこと」は2015年のスーパーネオンホールという長野にあるネオンホールでのイベントで観たときに既に歌っていて、『ブルックリンからの帰り道』が発売されたときに「ただそれだけのこと」の収録が見送られて驚いたことを覚えている。こんな名曲を外してくるのか、と。「船長坂」もライブでよく歌っていて、好きな曲だったのでこのアルバムに収録されてうれしい。

2019年に仙台でのライブを観に行った際に、「最近できたばかりの曲を歌います」と言って何曲か披露したのだが、そのなかの1曲が「空の鰯」だった。他にも何曲か歌っていたが、このアルバムの収録からは外れてしまったようだ。次作に収録されることを期待しよう。
収録曲のどの歌も素晴らしいのだが、なかでも「ブルース」は現在の友部正人の代表曲といって差し支えないと思う。現在のライブでは主に本編の最後に歌われることが多い印象がある。


以上が【2020年代の友部正人】です。

現在も、『あの橋を渡る』リリース以降の新曲をたくさんライブで演奏している。曲名がわからない歌も含めて、2010年代からライブでは歌っているがアルバム収録から外れている曲もある。この辺りも次作以降に作品として何の曲がまとまるのかが気になるところ。

再開発で様変わりした渋谷を歩いて死後の世界を歩いているようだと感じたことを歌った「銀座線を探して」、料理研究家ケンタロウのレシピ本『いえ中華』を読みながら回鍋肉を作ったことを歌った「コバヤシケンタロウのいえ中華」、友部正人のお母さんのふるさとのことを歌った「小鳥谷」、猛吹雪の日に陸前高田へ訪れた日のことを歌った「陸前高田のアヴェ・マリア」、命の重たさを歌った「クワガタ」、先日京都磔磔で友部正人が作ったポテトサラダが振る舞われるというライブの元になった「ポテトサラダ」などなど、これはほんの一部に過ぎず他にも未発表曲がたくさん。次作も楽しみ。

また、昨年2022年はデビューアルバム『大阪へやって来た』のリリースから50年が経ったので、デビュー50周年を祝う大きなイベントが開催されることを密かに望んでいたのだが、特に大きな催しはなく普段と変わらず通常営業でライブ活動などをしていた。雑誌、ネットなどの媒体を含むすべてのメディアでも特集などの話がなかったように思うので、個人的に少し寂しい。いまからでも遅くないと思うので、特集とかライブ企画とか、どなたかお願いします!そんなことがあったら、雑用レベルのことしかできないけどぼくも手伝います!笑

デビューから現在までのオリジナルアルバム23枚を振り返った。改めて思うのは、どのアルバムにも必ず名曲があるということ。リクエスト大会で何の曲に投票しようかなあと思いこのシリーズをはじめたのだが、一つひとつ改めて見ていくとなかなか決められない…!

ほんと、何の曲にしようかなあ。

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