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生きるということ

私にとって生きるということは、死ぬまでの間どうやって時間を潰すかという意味である。

死ぬまでの間、衣食住に困りたくない。
死ぬまでの間、多種多様なドラブルで心を傷つけたくない。

これらを避けるため、辛い思いをしないための処世術を身につけることに時間を費やしてきた。
人生を楽しむためではなく、嫌な思いをしないための思考である。

私は最初から人生を楽しむつもりがなかったのだ。

いつからそんな思考になったかはわからない。幼少期から既に家族といる時間は決して楽しいものではなく、早く1日が終わってほしい、早く大人になりたい、早く死んでしまいたいと思いながら過ごしていたからかもしれない。


家族と離れてもっと世の中を知ったら、思考が変わった。時間潰しなのは変わっていないけれども、もう少しだけ、人生を楽しく過ごしてみる気持ちになった。

というより、家族と離れてから初めてそういう発想を得たのである。

環境は容易に人の視野を広げたり狭めたりする。人の思考を変える力を持つ。

もう少し勇気が出てきたら、なぜ私の家族はそういう形だったのか、何を大事にして、何を守るためにあんな歪な形だったのかを考えたい。

忌み嫌ったまま死別したらきっと私の心は冷めきったままになる。その覚悟をした時期もあったけれど、今はもう少し頑張りたい。

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