オンライン元年、悲喜こもごも

新型コロナウィルスの流行でまだまだ不特定多数の人を集めて対面での集会や会食が難しい状況がつづいています。
会合や、式典、各種学会なども昨年からはオンラインやリアル開催とハイブリッドの開催となり、流行期には学校(特に大学)の授業もオンラインで行われるようになりました。

この状況にもいいことはあって、普段あまり参加できない他領域の学会や研修会などに自宅から参加したりということが気軽にできるようになりました。時間をつくって、いろいろ調整しないと参加できなかったPECSのワークショップやTEACCHのウェビナー、各種講演会などに自宅から参加したりすることができました。

また、自分たちでも全国から人を集めてこういったイベントをZOOMなどを使って気軽に開催できるようになり、自分の専門分野の周辺領域にずいぶんと知り合いも増え、視野が広がりました。

また、様々なフォーマル、インフォーマルな会議などへの参加も、移動や宿泊も含め、かなりのコストをかけないと参加できなかったのが、さまざまな形で参加する選択肢が増えました。無駄な会議が削減される一方、必要な会議は会議開催の目的が絞り込まれた上で、オンラインででも開催されるようになり、支援会議に診察室から参加させてもらったりもしています。

自分が出ることでお役に立てる場面で、診察の合間の時間で、その時間のみの確保で参加できるのはありがたいです。

こういったことは技術的には、いままでも可能だったのでしょうし、やる人はやっていたのかもしれません。
しかし、コロナで集会などがやりにくい状態が続き、縁が遠かった人もZOOMなどを使うようになって環境の変化は進化を促すのだなあと実感しました。これは、CT機器がコモディティ化し、インターネットの高速回線が一般的になったからこそだとおもいます。まさにオンライン元年といってもいいような一年でした。

オンラインのメリットも知られ、活用もこなれてきたように思いますが、オンラインでは難しいことなども分かってきました。
ここであらためてオンラインのメリット・デメリットをまとめてみたいと思います。

オンラインのメリット

・空間を超えられる。(海外であっても町内であってもおなじ。感染のリスクがない。)
・運転中に耳と口だけ参加というようなこともでき、時間を有効活用できる。
・時間を超えられる。(オンデマンド配信のとき)
・マスクを外せることで、むしろ対面より視覚的情報の多いコミュニケーションがとれる。
・自分のいる環境や出入りする刺激をコントロールしやすく、過敏さを持つ方には参加しやすい。
(自分の居心地位のいい場所で寝転がったり食べたり、内職しながらなどで参加できる)
・チャットなどと併用し、開催の仕方を工夫することで発言が苦手な人、難しい場所でも参加しやすく対面よりインタラクティブにでき、多動性を持つ方でも参加しやすい。

などなど・・。

オンラインのデメリット

・機材やネット環境、自宅の環境などで参加のハードル、格差がある。
・情報がディスプレイ越しの視覚聴覚に頼る分、臨場感を共有しての空気感などが伝わりにくい。
・特に初対面で関係性をつくっていく相手のときにやりにくい場合がある。
・直接やり取りするほど親しくない、参加者同士での、ちょっとした挨拶や、小話、ロビートークなどがやりにくい。
・要するに五感をビンビンにつかった濃厚接触ができない。

などなど・・。

こういったメリット、デメリットを考えてみると、オンラインが合う人(状況)と、合わない人(状況)に分かれるようです。

とくに自宅から遠方に進学した大学の新入生などは、なかなか新たな仲間をつくることが難しく、抑うつ状態となり休学したり、退学したりという方もいました。やはり会食をしたり、合宿研修などをしないと、ディープな話をしたり、まったく知らない初めての人どおしが接近するのはなかなか難しいこともありそうです。

一方、オンラインくらいでの関わりが、やりやすい、ちょうどいいという人もいて、そういう人にとってはキャンパスにとらわれない通信制の大学、オンラインでの留学なども向いているかもしれませんね。

高校以降では、通信制の教育はあります。一方で、小中学校などでも、休校期間中にオンラインでの授業などを工夫したり、不登校の子にオンラインで自宅から授業に参加する選択肢を示して活用している学校などもあったりして選択肢が広がるのはいいなあと思いました。


一方で、リモートワークでいつ働いてもいい、オンデマンドでいつ視聴してもいいということになるとなかなかうまくできないことがあります。
ある程度の枠組みがないと動けない方は、興味のあまりないけれども必用なものに、衝動性をおさえて、なかなか自分を律して動けないということもあるようです。

人が集まるオフィスにしろ、集合研修にしろ、無駄なようにおもえて意味はあったのだとあらためて気づきました。
コロナの流行により集会や移動の自由の制限は続きます。開催をあきらめたり、行事などをただオンラインにするのではなく、さまざまな工夫をしつつデメリットを補い、メリットを活かす活用をが求められているのだと思います。

さて、この状況で、東京オリンピックだけどうしてもやろうとしているのは、どう考えても一部の人の金目の問題なんでしょうね。たとえ開催されたとしてもアスリートもホテルに幽閉され、コンディションをととのてることもできず、観客のいない会場で競技が終わるととっとと帰国させられるようです。
それこそオンラインを活用しての、ましなやり方もあるようにも思いますけどね。

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