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別府湯巡り紀行 玖


この物語は

2022年11月5日、6日に

別府ビーコンプラザ

フィルハーモニアホールにて行われた

即興演劇集団「ロクディムにわか」公演

劇場観覧に乗じて

にわか湯巡りをしまくった

ある男の記録である。


目次


序章 なにも知らないのはいつものこと
第1章 別府の洗礼 
第2章 長い道のり
第3章 別府市民憲
第4章 猫の目
第5章 爽やかな海に
第6章 昼下がりのマーチ
第7章 夕暮れのビーコンプラザまで
第8章 夜、さまよう旅路
第9章 宿にて




第9章

宿にて
~ええ?キッチンとかあるの?~

1日目 たぶん21:30~27:00




宿についた。
共有スペースが
1階奥にあるはずだ
覗いてみよう。




「(ほほぅ…これは…)」



食器も調理器具も、調味料まである
食材さえあれば余裕で自炊できる


これは…いいな。



朝市とか行って食材買ってきて
調理したりも出来るわけだ。

明日は早めに出て食材探そうか。

確か
6時から開いている浴場もあったはず。
スマホを充電したら調べてみよう。



廊下の自販機で缶コーヒーを買い
キッチンの椅子で
マンハッタンを食べる。

あまさ控えめ。硬いめの食感。

美味しい美味しい。

疲れた体に丁度良い。


ちょっと落ち着いた。



さてと。


それでは


風呂に入ろうか。


また風呂?と


ドン引きかもしれないが


ちゃんと理由がある。







これが、ぼく。
こんな見た目ですが
おじさんです。

わかりにくいけど髪を頭の後ろで
お団子にまとめています


1日中、別府を歩き回り
10回も風呂に入ったけれど
ここまで1度も髪を洗わなかった。

ぼくは髪を伸ばしている。
ゆくゆくはヘアドネーションするためだが
長髪なゆえ、当然毎回洗ってもいられない。

乾くのに時間がかかるし
乾かしが中途半端だと
首から水が滴り、服まで濡らしてしまう。
湯冷めの心配もある。こちらに来る前から
髪を洗うのは、夜の宿だろうと思っていた。

それに、共同浴場の多くは
シャワーが設置されていないのも
頭を洗わなかった理由になった。
…宿にシャワーはあるのかな?
なかったら面倒だなぁ…。

この宿もかけ流しの温泉らしい。

大浴場へ足を向かわす。



脱衣所は清潔感あるシンプルデザイン
浴室も広かった。

どことなく
合宿の宿泊施設みたいな雰囲気。

しかし温泉らしい独特の湯の香り。
ちゃんと、シャワーもあった。

イスとタライを用意。
髪を洗おうと
シャワーの蛇口をひねる。

びゃああああああ!!!!


水圧が!!!!


はちゃめちゃに強い!!!!




「イテテテテ」


かけ流しで湯量が豊富。それはいい。

なぜ痛いほどの水圧なのか。

これは仕様なのか。

ケルヒャーか。ケルヒャーなのか。

高圧洗浄されるのか、ぼくは。

そうか…わかったぞ…
別府のシャワーは
きっとここだけにしかないのだ。。
それで全シャワーの水圧が
ここからでているのだ!

…でているのだ!
じゃないよ。
何を考えてるんだ。。
なんだ全シャワーの水圧て。


少し絞って勢いを調整。

静か~に、髪を洗う。

髪をまとめてくくる。
湯船に髪をつけないように、
日中も、随分気にかけてきた。
入湯モラルは知っていること
かつ、実践してこそ。


湯船は広く、お湯の供給口は
鍾乳石のようになっている。
浴槽内や床も少しざらりとしている。
温泉の成分のためだろう。


ゆったりと浸かる。
ぼんやり思考を巡らせる。

お風呂からでたら、どうしよう
何か食べに行く?…いや
さっき食べたマンハッタンで
正直、空腹感はない。

今日のことを書いておこうか
メモは持ってきているし。

長めにお風呂に浸かっていようか
…とも思ったが
若者たちが脱衣所へ入ってきた。
3人ほどかな。
入れ違いで出るとしよう。




湯上がり。
キッチンの冷蔵庫に冷やしていた
缶の安い酒を飲む。

飲酒してお風呂に入るのは
あまりよろしくない。
今までよく我慢したなー。 


アルコールが

溶けた脳ミソを

さらに溶かす

大人になるというのは

悪いことばかりじゃない

ハッピーなこともあるのだな…

お酒を飲むたびに思う。




眠くなるまで
今日のことを書き出そう。
スマホは、1時間ほど
充電もできたことだろう。

キッチンを出て、
洗面台で歯をみがき
ベッドへ戻る。




ベッドのある個人スペースは
入口のブラインドを下げることで
共有スペースと間仕切ることができる。

ともあれ、ブラインド1枚である。
相部屋なので、あまり
音を出さないよう気を付ける。



今日の戦利品をベッドに並べてみる。

誰にも見られちゃいないが

顔がにやけているのがわかる。


舞台のツーデイズチケットで
黄色の特製タオルをゲット
キラキラした横糸が入っていてキレイ



嬉しいなあ。
不思議な縁の繋がりで
ここにいられる。


丁寧に、再び大切にそっとしまう。




今日あったことを、と

メモを書き出したら

止まらなくなった。

いろいろありすぎだよ。


ビーコンプラザを出るまでの内容で

40ページの小さなメモ帳は半分が

いっぱいになってしまった。

(第8章までの再現はこのメモ帳のおかげ)



時刻を見て

ため息ひとつ。

すぐ夢中になるのは

なおすべき悪癖。

27:00 

午前3時。

ペンを置く。

目を閉じよう。

朝の6時から食材探しかな?

まあ… 無理じゃぁないかな…





起きた時に考えよう。





明日も晴れるだろう








よい温泉が、また待ってるはず












ハプニングは、もうお腹いっぱいだよ?











闇に落ちる。










つづく












次回 第10章
午前中ってのは短いんですよ?
~湯巡りの本流へ~


御期待ください





別府八湯温泉道公式HP
https://onsendo.beppu-navi.jp/ 


かけ流しクエスト
https://kakenagashi.com/category/beppuhattou 


6-dim 
https://6dim.com/ 


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