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「箱根駅伝と私」というタイトルで書く自伝みたいなもの

お正月は箱根駅伝が当たり前だった

神奈川県厚木市で生まれ1歳から伊勢原市で育った私にとって、お正月の箱根駅伝は当たり前にそこにあった。スポーツ全般を父の膝の上でのテレビ観戦でスタートしていて当然その中に含まれていたし、お正月に顔を合わせる祖父母や叔父が平塚や小田原に住んでいたこともあり、叔父はよく沿道で応援もしていたから。「お正月は寒くても良く晴れた中を大学生のお兄さんたちが走るもの」と思っていた。
しかし大学進学で沖縄に行ってみたら箱根駅伝なんてだーれも見ていなかった。これには驚いた。でも考えてみたら箱根駅伝に出ている大学は関東の大学ばかり。そしてよくよく見てみたら箱根駅伝に出場できるのは「関東学生陸上競技連盟男子登録者」なのだ。
また新潟県で生まれ育った元夫がお正月に実家に来た時、例年通り良く晴れてポカポカ陽気だったのだが、「これはズルい」と言っていて「ん??」と思って聞いてみたら、新潟のお正月はほぼ雪か曇天とのこと。これにもハッとしたし、日照時間の差ってどういう影響があるのだろうとも考えた。
とにもかくにも「箱根駅伝」も「晴れてポカポカお正月」も全然当たり前ではなかった。

親しみがあるのは専修大学東海大学神奈川大学

何歳のときに見始めたのか覚えていないが、駒澤大学とか順天堂大学、山梨学院大、大東文化大、専修大学などもよく記憶にある。熾烈なシード権争いにわりといつもいた城西大学も懐かしい。
伊勢原市に運動部の寮がある専修大学の駅伝部の練習風景とすれ違ったり、神奈川大学も見たことあったり、自然と身近な大学は応援したくなるもの。知っている人が出ているとか、自分の出身校とかでもないのに不思議なものだ。従兄の出身校中央学院大学、弟とそのパートナーは中央大学のOB、しかしその両校を応援した記憶はない。
これは地元チームを応援するサッカーやバスケと同じ心理なのかなー。東海大学の連覇は今年やっぱり応援しちゃった。

「神奈川イヤー」と思った神大の優勝(1998)

そこで思い出すのは神大の優勝。神奈川県内の県立高校に通っていたからなのか「神大の給費」が身近で、確か神大に進学した同級生も割といて、そういう大学が優勝したのは何だか鼻が高かった。ベイスターズも優勝したしラグビーは関東学院が強くて、何より松坂大輔を擁して横浜高校が優勝したのもこの年なのだ。1996年に初めて実家、神奈川県を離れて故郷への誇りというのかそういうものを意識させてもらえた、神奈川勢の活躍だった。
それに刺激を受けたわけではないけれども、98年、99年はフルマラソンに出てみちゃったりして。

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山の神を見たくて初めて生観戦(2012)

それほど身近ではあったが沿道で応援したのは30代半ばになってから。「山の神」という呼称がすっかり定着した東洋大学の柏原くんの4年連続4回目の走りを直接見たかった。箱根・大平台まで箱根湯本駅から徒歩で登りながら「これを走って登るのか…」という体感を得たから、その直後に上ってきた山の神の姿は神のごとく感じた。あんな坂を走れるなんて!!その年以降、5区と6区は見ていると力が入ってしまう。
小田原中継所から平塚の間は、2015年の元旦に逝った祖母が入所していた施設があって、よく歩いた道もある。平塚中継所から茅ヶ崎までの道路は車に乗れる年齢になってから、よく出かけた風景の中にある。自分が行ったことのある場所、見覚えのある場所を選手たちが走るわけだから、箱根駅伝が懐かしさとともにあるのは当然な気がしてきた。

大人エレベーター」に黒田博樹!!

ここ数年はスポンサーの1つサッポロビールのCMがなかなか気になる。2016年はそこに黒田博樹が登場して、まーーーーうれしかった!2015年シーズンからCarpに復帰した黒田がこの1年、私たちに何を見せてくれるのか、ものすごくわくわくしたことを覚えている。何度見ても飽きないCMだった。
ちなみに黒田も専修大学出身で学生時代は伊勢原にいたのであるが、その専修大学はこの年、残念ながら出場していない。
物心ついたときからなぜかCarpファンな私がなぜ飽きずにCarpを応援し続けるのか。ここ数年はずっとAクラスにいて、クライマックスまで応援できたり日本シリーズの時季まで楽しめたりして、すごく良い思いをさせてもらっているけれど、観ていて何が楽しいかって、選手たちがすごく楽しそうなのを観ているのが楽しいのだ。良い顔で野球している。私はこの「良い顔で〇〇している」という人たちが好きなのだと気づく。

福島県出身選手が多いとうれしい

神奈川に縁のある大学に親しみを感じるのは変わらないのだが、最近加わったのは「福島出身選手」が気になること。これは私が2013年12月~2018年3月まで福島県の復興支援に関わる仕事をして、神奈川の次に長く住んだ場所になって、顔が浮かぶ親しい人が増えたからなのだろうと思う。
2020年はやたら学法石川出身選手が多くて、心の中で応援した。7区で東京国際大学の真船恭輔選手と明治大学の阿部弘輝選手が競っている姿は印象的。ここで高校時代のチームメイトが競い合えるってうれしいだろうなぁ。さらに2区で区間新を出した相澤晃選手も学法石川だが、東京国際大の伊藤達彦選手と並走して2人でその記録を押し上げたシーンもすごく良かった。
「同級生やライバル同士が励まし合ったり刺激し合ったりして成長する様子」も私の好物なことがよくわかった。

今の私に見えていること

当たり前でも何でもなかった箱根駅伝だが、面白いことに変わりはない。この先も見続けるだろうけれど、そこから感じること気付くことはきっと変わっていく。
2020年の私が一番気になるのはこの駅伝の出場資格「関東学生陸上競技連盟男子登録者」である。実は甲子園(野球)も花園(ラグビー)も国立(サッカー)も、みんな男子だ。バスケのウィンターカップは男女ある。天皇杯も皇后杯がある。しかし冬とかお正月とかシンボリックな大会とかで、女子に機会が開かれているもののいかに少ないことか。さらに言えば性の違いが前提であるスポーツは、どんな人にとっても楽しめるものなのだろうか、よく考えたい。
私自身、スポーツは好きだが身体能力に優れているわけではなかったから、その機会を奪われていると感じたことはなかった。ああでも、「男だったら甲子園目指した」「ラグビーやりたかった」そういうことは結構言っていたから、実は気付いていたのか。そしてそれはきっとスポーツに関してだけではなかったのだ。
誰もが同じように挑戦する機会を持てる社会、その実現のために私にできることをしていく2020年にしよう。

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