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ノベルゲームを語る

・それぞれのゲーム観

近頃友人たちと「ゲーム」とは何か、という話をする機会がありました。

私自身は「ノベルゲーム」という文章を読み進めていくタイプのゲームが最も好きなのですが、話すと友人の一人が何とも言えない表情。

どうやらその友人(以降友人C)はノベルゲームはゲームではないという考えの持ち主だったようです。

友人C曰く、ゲームとは「現実では不可能なことを仮想世界を利用して楽しむための媒体」 よって重視されることは操作性や爽快感、マップやオブジェクトの作りこみです。

一方私は、ゲームとは「1つの世界を体感することを目的とした作品」 よって重視されることはBGMや設定、シナリオなどです。

お互いただのゲーム好きであって専門家でも何でもないため、「?」となる部分もあると思いますが多少はご了承ください…

私と友人Cのゲーム観はお互いに「体験」という部分に重きがあり、似ているようにも感じますが、話を深めていくと違いが浮き彫りになりました。

違いが最も顕著だったのは「自己投影」の部分です。

私は主人公にかなり自己投影をする人間で、中学1年まではゲームの主人公の名前は本名で設定しており、主人公の性別に至っては現在でも現実と同じ「男」です。ゲームに関しては「没入感」が最重要項目であり、ボタン操作や効率計算などですら没入感を阻害する項目として判断しているほどです。

しかし友人Cは私とは真逆で、ゲームの主人公はあくまでゲームのための道具という位置づけをしており、「自分の分身」という表現にも難色を示していました。極限まで「ゲームはゲーム」を地でいっています。

そして「だってノベルゲームって操作もクソもないし本読むのと変わらないじゃん」との一言。

それは違うぞ!それは絶対に違うぞ!

今だからこそノベルゲームは流行るべきなんですよ!

・ノベルゲームの強み

ノベルゲームの最大の強み

それは「ライトユーザーでも作品を味わい尽くせること」だと思っています。

現在は「時間がない」、「お金がない」といってゲーム筐体はもっぱらスマートフォンで、基本プレイ無料のソーシャルゲームなどをメインでプレイする「ライトなゲーマー」と言われる存在がかなり増えています。

また、ゲームは好きだけどゲームはやらないという「ゲーム実況大好き」な部類の人も同じように増加しているように感じます。

そんな「ライトなゲーマー」たちにこそ「ノベルゲーム」をおすすめしたい!その理由は強みの解説にもつながります。

1.慣れや技術を必要としない

ノベルゲームは極論「読むだけ」なので、他のゲームのように慣れや技術を必要とせず、攻略の上でのストレスがない。

2.スマートフォンでもじゅうぶん

ノベルゲームは激しい操作や複雑なマップ、細かいデータ表示などが存在せず、スマートフォンでもストレスを感じずにプレイすることができ、アプリストアなどにも名作から奇作までがしっかりとそろっている。ゲームハードへの初期投資が不必要であるため、手に取りやすい。

3.自分のペースで自由にできる

主にソーシャルゲームの話になりますが、ログインボーナスや期間限定イベントなどの存在、ゲームの種類によってはゲリラ的な時限イベントやチーム戦などの存在により、強制ではありませんがプレイ時間や頻度を指定されることがかなり多いです。ノベルゲームはそう言ったことはありません(一部ログインボーナスのみで全編無料で読めるなどの例外作品はあり)

4.作品を完全に楽しめる

ノベルゲームは基本的には一本道であり、マルチエンディングでも大抵の場合トゥルーエンドという立ち位置のエンディングが存在します。そのためゲームが苦手な人でも読み進めてクリアするだけで作品のコンセプトや制作者の意図を感じ取りやすいです。そのため、他のジャンルのゲームよりも「作品を味わいつくした」という達成感を味わうことが容易です。


また、番外編にはなりますが、「サブカルチャー」が「サブ」であることの根底にある「エロ、グロ、ナンセンス」という表現を含む作品が多数存在することも人によっては大きな魅力ではないでしょうか。

・この作品をプレイしてほしい!

私が実際にプレイした作品の中でも特におすすめ…という気持ちもありますが、「プレイしてくれ!」という感情で選んだ作品の紹介。そのため制作もジャンルも偏ってます。

*ネタバレは避けましたが、「怒涛の展開発言=ネタバレ」というレベルの指摘には耐えられる文章ではありません。ご了承ください。

もくじ
サン電子 歪みの国のアリス
サン電子 オズの国の歩き方
ケムコ  トガビトノセンリツ
ケムコ  D.M.L.C(デスマッチラブコメディ)
5pb     カオスチャイルド
(type-moon   魔法使いの夜)


1.歪みの国のアリス

ガラケー時代の不朽の名作。不思議の国のアリスをベースにした選択式マルチエンドノベルゲームであり、ジャンルはホラー(泣けるホラーゲーム)

不気味にアレンジされつつもどこか愛嬌がある魅力的なキャラクター達と現実世界がクロスするという現実と非現実の境目が曖昧な世界観が織りなす物語はホラーといいながらも耐性がない人でも十分に楽しめる。ノベルゲーム入門として最適な作品。

2.オズの国の歩き方

オズの魔法使いをベースにした純粋なアドベンチャーノベルゲーム。

 オズの魔法使いの原作通り「黄色いレンガ道を辿る」という単純明快なストーリーの流れとなっており、その中でトラブルや謎、成長といった要素のイベントが展開される。

特に主人公である「ドロシー」以外の「飼い犬のトト」「ブリキの木こり」「臆病なライオン」「かかし」に準じた登場人物たちの成長と変化は少年漫画や王道ファンタジー小説のようなアツさと感動を味わわせてくれる。

異常なボリュームであるため、しばらく生活を共にすることになるが、毎日のちょっとした息抜きとして最適。クリア後にはストーリーによる感動に加えて、クリアしたという達成感、終わってしまったという悲しさがやってくる。

3.トガビトノセンリツ

ケムコから複数出ているデスゲーム系ノベルゲームのうちのひとつであり、選択式マルチエンドノベルゲーム(トゥルー、バッドあり)

形式は人狼ゲーム

個人的な思い出補正も大きいがその中でも最も好きな作品。

 デスゲームモノは基本的に推理を進める流れのもと犠牲を伴って、やや強制的にストーリ ーが進行していくが 本作品でデスゲームをするのは仲のいい部活動メンバーという身内

進めれば進めるほど推理よりも、登場人物のバックグラウンドが明らかになっていき、後ろめたさや後悔、絶望を感じる心理系のデスゲームモノ

プレイヤーである自分自身が登場人物を理解したうえで無慈悲に進んでいくストーリー、没入感はトップクラス。 本編クリア後も追加要素込みでもう一周できたり、購入すれば外伝的なストーリーなどを読めたりと楽しみは尽きない。

4.D.M.L.C(デスマッチラブコメディ)

選択式マルチエンドノベルゲーム(トゥルー、バッドあり)

ヒロインに告白されると爆発(物理)というぶっとんだ設定のラブコメで所謂ハーレムモノ

若干ライトノベル臭がするともいわれる作品。 

デスゲームモノの中でも割と珍しく、舞台が閉鎖空間ではない。それどころか色々な場所で物語が展開されるため「作品内の世界の広がり」がかなりある。

トガビトノセンリツと同じく過去の掘り下げを含む心理描写がかなりあるのでその点も◎ 

「クサい」「こっぱずかしい」「ご都合主義」という感想が出るような展開や描写があるが、それを踏まえたうえで鮮やかにタイトル回収する展開は見もの

5.カオスチャイルド

シュタインズ・ゲートで有名な科学アドベンチャーシリーズの作品。

正式には妄想科学アドベンチャーで、妄想を具現化するという能力を駆使して展開される、ノベルゲーム

渋谷で起こる連続猟奇殺人事件を独自に追う新聞部が主人公含む主な登場人物となっており、それぞれが抱える過去と連続殺人事件を主軸にストーリーが展開される。多くがネタバレに繋がるため詳しい説明はできない。

ノーマルエンド、キャラ個別エンド、すべて解放後にトゥルーエンドがありかなり大変

前作にカオスヘッドという作品がありその作品の六年後を描いているが、 前作未プレイでも十二分に楽しい(実際自分もカオスチャイルドからプレイ)

胸糞展開のオンパレードで容赦なくプレイヤーの心を折りに来るが毎回意表を突かれる展開にワクワクもする。これぞサブカルの集大成!みたいな作品 

キャラ個別エンドがある都合上、ノーマルエンドや個別ルートでは回収されない伏線が多々あるが、その分すべて見た後のすべてを理解しきった満足感は特筆すべきものがある。
ライトユーザーにはオススメできない、むしろ止める。でも知ってほしいという矛盾…

人をかなり選ぶが間違いなく名作

6.魔法使いの夜

スマートフォンではプレイできないPCゲームだが、紹介しておきたかった作品。

Fateや月姫でおなじみタイプムーンのノベルゲーム。

選択肢などはない。しかしマルチエンドじゃないことを侮るなかれ

イラストが尋常じゃないほど動く動く…差分イラストも異常に多い。

効果音やBGMの演出もしっかりしていて映画を見ていると錯覚するほどエンタメ性が高い

それに加えて流れるようなストーリー展開や、ヘイトを集めるキャラがいないという点、ヒロインとの恋愛関係ではないちょっと変わった関係性、ラスボス戦からエンディングまでのストーリーの流れの良さという点から「綺麗」という言葉がぴったりとあてはまるゲーム

それぞれの「設定」が練りに練られてピッタリとかみ合っており、設定をしっかりすることの重要性を知ることができる

他のノベルゲームや小説、漫画などでよくある、読者にその後を委ねる結末からくる 「その後みんなはどうなって、どんな生活しているのか」というモヤモヤもスタッフロールの後に見られる文で解消されるので、本当に綺麗

さらにスタッフロールの際には supercell の「星の瞬くこんな夜に」が流れる神仕様

どの層にもお勧めできる万能作品


長々と失礼しました。ここまで読んでくださった方は本当にありがとうございます。

今後もこのように好きなコンテンツに関する情報発信を半ば自己満足的にしていきます。




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