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大地と人のつながりをフルコースで頂く!『地球を食べる食堂〜須佐ホルンフェルスとケンサキイカ〜』

7月17日(日)、萩ジオパーク推進協議会主催『地球を食べる食堂』の2022年第3弾、「須佐ホルンフェルスとケンサキイカ」が開催されました!

あさ10時前ーー。青空の下、集合場所のJR山陰本線須佐(すさ)駅に参加者の皆さんが続々と集まってきました。

集合

「地球を食べる食堂」は、地質や地形から大地の特徴を学び、土地に根付いた文化から“大地と人のつながり”を見つけることができる体験講座。通常の観光ツアーとは違い、身近な「食」を通して学びや気づきが得られるため、お一人様からご家族連れまで老若男女、毎回様々な方が参加されています。

出発前にお話を伺ってみると、「ワクワク・ドキドキしています。食育の観点で、子ども達に教えるためにまず大人が知って勉強しなくてはと思って参加しました」という声も。勉強熱心な方が多いのも、この講座の特徴です。

須佐漁港

さて、一行がバスに乗り込み、最初に向かった先は須佐漁港。見てください、この美しい海!

一本釣り船団

港に着くと須佐一本釣り船団の皆さんが出迎えてくださり、実際に使われている漁船や、普段は見ることのできないケンサキイカの泳ぐ水槽を間近でじっくりと見せてくださいました。

KOJI0437船長合成

須佐一本釣り船団長の佐々木寛さん。この豊かな須佐の海で、年間を通してどのようなイカや魚がとれるのか、またどのような漁法や道具で釣っているのかなど、興味深いお話をたくさん聞かせてくださいました。

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最新式の漁船。陸から見えるきれいな漁火は、上部に吊るされている集魚灯の灯りだったんですね!

水槽

ケンサキイカが泳ぐ水槽を覗き込む参加者の皆さん。漁師さんがカゴですくって見せてくださいました。

水槽のいか

「アナタダアレ?」イカさんの方も見慣れぬお客さん達に興味津々!?

ケンサキイカは「素手で触るとヤケドする」と言われるほど繊細なイカです。そのためカゴですくい、漁師さんたちが手でイカに触れることは最後までありません。それもこれも、活イカの本当の美味しさを伝えるため。

こうして大切に扱われたケンサキイカは「須佐・男命(みこと)いか」というブランド名で出荷・販売され、地域の活性化にもつながっています。

さて、お次は日本の地質百選にも選ばれている「須佐ホルンフェルス」です。「須佐ホルンフェルス」はマグマが地層に入り込んだ部分から畳岩にかけての約600mの範囲のことで、熱によって元の岩石とは全く性質の異なる岩石(ホルンフェルス)ができた過程を帯状に観察することができます。

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駐車場からは上の写真のように、須佐ホルンフェルス全体が見渡せます。

歩いていくs

駐車場から遊歩道が整備されているので、歩いてもっと近くへ向かいます。

岩場

約10分ほど行くと、最後はちょっぴりワイルドな岩の坂に。ドキドキ……

ホルンフェルスs

坂を下りたら、ドォーーーン!!こんなに近くで「畳岩(たたみいわ)」が見れちゃうんですね!

白井先生1

ここからはジオパーク専門員の白井孝明先生が説明します。

灰白色と黒色の縞模様が特徴的な「畳岩」。この地層がどのようにして出来るのかということを、水と砂の入ったペットボトルで実験して見せてくださいました。

白井先生2 のコピー

大人も子どもも興味津々です。

また、この縞々がそれぞれどのくらいの時間をかけて堆積したのかを解説。
灰白色の層と黒っぽい層は、出来るのにかかった時間が全然違うのだそうです。見た目からだけではわからないものなのですね。

地層

手で直に岩肌に触れ、成分や成り立ちの違いを実感。

化石

次はここが海の底にあった“証拠”となる生き物の化石を皆で探します。

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あった!これはどんな貝かな? 

写真を撮って記念に残します。かつて海にいて、現代には存在しない生き物の痕跡との出会い。ロマンですねぇ・・。✨

KOJI1030集合

ホルンフェルスを背景に皆で記念撮影。(暑い中、地球を食べる食堂の暖簾を持って運んだ皆さまもお疲れさまでした!!)

それでは、そろそろお腹も空いてきたので次の会場へ移ります。

漁協調理室

ここではケンサキイカを捌くところを実際に見せて頂くため、山口県漁業協同組合須佐支店女性部の皆さんが「須佐・男命(みこと)いか」のお揃いのユニフォームを着て待っていてくださいました。

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さっそく大きなケンサキイカが調理室へ運ばれてきましたョ!左のイカはちょっと興奮して赤くなっています。活イカを〆る瞬間、この赤色がパッと変わるのだとか。

きるよ

瞬きをしている間にも色が変わってしまうということで、見逃さないようにと皆さんカメラを持って待ち構えています!

包丁が入りました!

イカの色

赤かったイカが→→→透明に!わかっていただけましたでしょうかっ!? 皆さんも上手く撮れたかな?

おさしみ

見学の間にも、参加者の皆さんのために、おかみさん達が急ピッチで新鮮なイカ刺しを用意してくださっていました。

いかさし

ご主人たち漁師さんが海で釣ったケンサキイカは生きたまま船に乗り、水槽に入り、今こうしておかみさん達が調理のために触るまで、誰にも触れられることなく大切にされて、食卓へと提供されるんですね。

さぁ、それでは昼食会場へ。

ランチKOJI1348

本日のお品書きは・・・
・ケンサキイカのお刺身
・下足と野菜のかきあげ
・イカ飯
・イカ南蛮
・ちりめん寿司
・ひじき煮
・揚げ茄子
・ポテトサラダ
・胡瓜のビール漬け

ボリューム満点!!すべて須佐のおかみさんたちの手作り!
お刺身は吸盤が吸い付くほど新鮮で癖になりそうな美味しさ。どれも美味しく、皆さんもとても満足そうに召し上がっていました。

美味しいお料理とあたたかい気持ちでもてなしてくださった山口県漁業協同組合須佐支店女性部の皆さんに、感謝の拍手が送られました。

女性部の皆さん

ちなみにメニューにあったイカ南蛮も大好評! イカ南蛮に使われていたのはスルメイカなのですが、刺身ならケンサキイカ、フライだったらスルメイカと、それぞれの味や食感を活かして調理するのも、イカを知り尽くした漁師のおかみさん達の知恵なんですね。


締めの挨拶

最後は須佐駅で本日のまとめ。
大地を生んだ地球の営み、大地と向き合う生産者、そして食材を調理する料理人の掛け算が感動の体験を提供してくれていることをおさらいしました。

参加者の感想では「イカとホルンフェルスそれぞれには見たことがありましたが、それがつながるところが見られて良かったです」という声も実際にあり、景色を見るだけ、美味しいものを食べるだけよりも、その理由やつながりを知ることで、もっともっと味わい深くなるということなんですね。

つまり『地球を食べる食堂』の醍醐味は、大地と人のつながりをフルコースで楽しめること! 次回も楽しみです!!
これからも『地球を食べる食堂』にご注目ください。


(おまけ)終了後、須佐駅にある「いかマルシェ」でおかみさんオススメ須佐限定「イカ墨アイス」を頬張る方が続出!!

いかすみアイスKOJI1447

本当にスミの色でした!


取材・レポート:三枝英恵

スチール撮影:うえだこうじ