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【号外3】ひと・町つながるシリーズ

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ひとや町がコーヒーを介しつながっていく、創造のブレンドコーナーです。売上の一部を関わりのある地域や子どもたちに寄付をいたします。
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記事一覧

ひと、町、伝統。鳥取県日南町の木炭100%で焙煎する「つながるブレンド」発売。

鳥取県日南町の木炭 以前書かせていただいた「鳥取県日南町の大宮炭」を取り扱い始めた理由。それは、わたしの母の出身地であり、わたしのルーツの50%がこの町だと言う、小さな糸口からだった。町役場を訪れ、炭があることを初めてしり、そしてテスト的に使い始めた、そんな緩やかなはじまりだった。 → はじまりの記事はこちら  → 第2の故郷について詳しくはこちら かつて、たたら製鉄で栄えた町、日南町。火付きがよく高温になる炭は、この町の製鉄産業には欠かせないものだった。しかし時代とともに

鳥取県日南町ブレンド ~いろといろ~

自分の起源の50%は神戸で、残りの50%は鳥取県日南町だ。農業と林業が中心で自然豊かな町。母が6歳の時に祖母がなくなり、男手ひとつで育った影響からか、幼い頃から何度も通った町。 20年余り前に亡くなった祖父の家は空き家で、現在もたまに空気入れ換えに行く。江戸時代からの建物で、母屋、 馬小屋、 囲炉裏、釜戸、五右衛門風呂。もちろん便所は「はなれ」だ。屋号が代名詞のこの集落では、私のことを「○○屋の孫」と呼ぶ。田畑の手伝い・川遊び・ハンザケ・蛍・花火大会。そしていつかの小学校の

おかんブレンド。強さと優しさのミックス。

母の日を前に、一年前を振り返る。 2023年2月、第4期オヤジラボが開催され、それまでに出来上がったおやじブレンドがその3月にホワイトデーで販売されていた。これらは現役を引退された男性のコミュニティ形成の難しさをコーヒー軸に解決しよう!という趣旨で現在も開催されている。 とあるひ、弊社Instagramにコメントが入った。おやじのワークショップもあるなら、ぜひ「おかん」のワークショップもお願いします。とのこと。何か企画を考えるときに物語を意識することが多いが、この時は活発な

「摩耶ブレンド」とアイデンティティ

私たちは、昭和3年(1928年)に、和田市場(現:JR灘駅・北側)で創業した。 当初は、「萩原商店」として、市場の一角で缶詰や穀物などと共に、コーヒー豆を販売していた。(萩原珈琲の歴史 http://www.hagihara-coffee.com/ ) 店構えは、市場の一商店。小さいながらに、ずっと「上」を向いていた。 1961年に現所在地(神戸市灘区城内通)へ移動し、萩原珈琲株式会社を設立。やはりこの時から現在までも、90年間ずっと私たちは「上」を向いている。 和田市場

灘のおやじが集った日。灘のおやじブレンド。

灘区役所まちづくり課の企画「灘オヤジラボ」。 地域活動に興味はあるが、なかなか一歩が踏み出せない。そんなシャイなおやじの皆様 (以後、おやじ達) と共に、「産業を知る」という講義を開催。 タイトル「産業を知る」を概ね無視し、自社のことはかなり控えめに。 準備段階で、講義の主旨を自分なりに勝手に決めていた。 ①:おやじ達を「動かす」。 ②:その為に、シャイなおやじ達を「小学生」に戻す。 ③:「淹れる」講座よりは「作る」講座。 ④:できたものを「使う」。 自分のわがままな依頼

灘の下町ブレンド A面

市場の前を通る。喫茶店ダックの中を覗いて、手を振る。「○○くん、今日も一人?」私は小さくうなずく。小学生ながらに、「独り」の方が都合がよいことを知っていた。それは独占欲に近い感覚。 そんな、30年前の話。 私の生まれは、市場から北東に300mくらい行ったところ。 現在、この地区で「市場」と言うと水道筋(全般)をさすが、当時のこの地区の一部の人には和田市場(現・JR灘駅北側)が馴染み深くて、記憶と思い入れが深い。もうないけど。 まず、笑顔が「すぎる」おばちゃん、Tさん(うど

灘の下町ブレンド B面

現在の住まいから、南東に300mほど下った所に水道筋の入り口がある。正確には、灘センター商店街。そこをしばらく下ると、コロッケ屋さん、魚屋さんがあって、小さな入り口が見えてくる。こどもの手を引きながら、無意識に小さな入り口を左折する。そう、灘中央市場の西口(入口)だ。そんな日常の話。 ようやく買い物が終わった。 今日のご飯、何やっけ?そんな日々の繰り返し。その日常がたまらなく好きで、市場に通いつづける。 灘の下町ブレンド。 特別でも何でもない。普通に暮らす日々の記憶。

山上と麓の2点の中間、MAYA KANKO HOTEL。

一枚の写真を入手した。かなり昔の写真のようで、印象深い女性がこちらを向いて笑いかけている。ホテルのテラスでの一枚ようだ。幼少期にこのホテルの横を通った記憶がかすかにあるような、ないような。そして突然、妄想の世界が始まった。 かつてそこに、人がいた。 時代とともに栄華と衰退、復活を繰り返し、廃墟となった今、日常だった空間が非日常の世界に生まれ変わる。 独得の華やかな香りから、ふと懐かしさを感じる。飲み終わった後のいつまでも続く余韻が、廃墟となった今も、地元の人々に愛されてい