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初めてのカーディガン

編み物を始めたのは中学生くらいだったか、それでも表目と裏目があると知ったのは社会人になってからで、初めて手袋を完成させたのは2012年のことだった。(しかも根気がなく片方だけ!)

それからも、冬がくるとたまに編むものの、手が遅いので完成しないまま春が来て、そして次の冬が来る。去年の続きを編もうとすると、すでにやる気は枯れ果てていて、また新しいものを編もうと本と毛糸を買う。だらりだらりと編んでいると春が来る。上達なんてするわけがない。

そんな私が、本屋で立ち読みしたニットマルシェvol.20(2015年発刊)に掲載されているカーディガンに一目惚れした。たっぷりのアラン模様がなんともかわいらしいのだ。すぐにレジに持っていき、帰宅してから何度も何度も眺めた。いつかこれを編むんだと、これまでよりも編み物に取り組む時間を増やした。ペースは遅いものの少しずつ完成までたどり着ける作品が増えてきた。

ニットマルシェ vol.20

手袋、帽子、靴下などなど。数は少ないが少しずつ編めるようになってきた。数多くの失敗も経験した。そしていよいよ自信がついてきた私は憧れのアランカーディガンに挑戦することにした。2019年10月のことである。

完成までの道のりは長かった。やはり途中で飽きてしまうので、そうするとすこし脱線して、靴下や帽子などわりとすぐ完成するものを先に編んだ。
そうこうしてるうちにまた春が近付いたころ、コロナで世界は一変した。

記憶がないまま季節が過ぎた。毎日なにかに追われていて編み物どころではない。こないだ産んだと思った子供は3歳と1歳になった。

そして何もできないまま編み始めから1年が経ってしまい、恐る恐る続きを編み始めた。思っていたよりも指が動く。やる気も枯れていない。だって、ずっとずっと編みたかった憧れのカーディガンなのだ。

編み途中。ここまで来たら波に乗ってくる。寝ても冷めても続きを編むことしか考えられない!

そして2020年11月!糸始末も無事に終えていよいよ完成した。袖を通してみる。なんてかわいいんだろう。この一つ一つの編み目にどれだけの愛情や希望や祈りを込めただろう。

編み物が上達しますように。かわいいものができあがりますように。冬の私を暖めてくれますように。

大袈裟に聞こえると思うが、ずっと編み物初心者から抜け出せないでいた私にとって、大物を編み上げることはひとつの目標だったのだ。それが今達成できたのだ。

2020年は本当に色々あった。楽しいこととつらいことを天秤にかけると、つらいことのほうが圧倒的に多い1年だった。そんな中、ひとつの目標を達成できた私をたくさん褒めてあげたいと思う。そして来年もたくさん編んで編んで編んで、上達を目指そう。

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