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歩道橋泣き女

夏にはまだ早いけど怖い話な…

明るい日中であればなんでもないことが、夜の闇に紛れると途端に怖くなるんだよなぁ。簡単に言えば臆病なのよね。

ちょうど1年前くらいにもこんな投稿をしておりましたが...

今回のはわりと最近のおはなし…


現在住んでいる家の側には中央道が通っている。

最寄駅へ向かうには高速道路を横切る歩道橋を渡るのが近道で、毎日のように渡っている。

仕事が終わって22時頃の帰り道。歩道橋の階段を上る。

階段を上りきり30mくらいある横断部分に差し掛かる。高速道路なので車道は灯で照らされているが歩道橋の上は結構暗いんですよ。

歩いていると反対側の階段の手前に何かが見えた。

ん?人がうずくまっているのか?こんな時間にあんなところに人がいるわけないな、なんて思っていたのだけれど近づくにつれてホントに誰かがこれから降りる階段の脇にしゃがんでいるのがハッキリと見えてきた。

誰が何をしているんだ?

何やら音も聞こえる…

その距離も10mを切り、やっと状況が掴めた。


推定20歳代くらいの女性が暗い中でしゃがんで泣いているのだ。

なんでこんな時間にこんな所で?

ここは紳士的に『大丈夫?』とか声をかけるべきなのか?見ず知らずの、それもうら若い女性にいきなり?かえって不審に思われないか?

ていうか…

怖ぇーよ!すげー怖ぇーよ!

俺はその娘の50cm位横を通らなイカンわけよ。いきなり

『ギャー!』

とか大声出されたり、襲ってこられたりしたらどうすんだよ。

“『娘さんどうしたんだい?』声を掛けて顔を上げると…”という小泉八雲パターンもあるじゃん!

俺は雪で閉ざされたオーバールック・ホテルの廊下で双子の少女に出くわしたダニーになっていた。

踵を返して背中越しに来られるのもたまったモンではないし、家はすぐそこだ、進むしかない!

紳士的なヤツは?彼女の助けになれるかもしれんぞ?

さあどうする?

多分一生ヒーローにはなれない俺は真っ直ぐネズミ野郎を選択し黙って脇をすり抜けることにした。

階段を下りきるまで怖くて振り返ることができなかった。

当然何も起こらず、ただ彼女は歩道橋で泣いていたのだった。

家に着き開口一番嫁さんにその話をすると…

「あー昨日も居たんだわぁ、なんかあったんやろねぇ。しかしあんな所で泣かなくてもねぇ…」

おいおいなんだよー昨日のうちに言っておいてくれよ。無駄に怖い思いをせずに済んだじゃねぇかよ…

「ところでその女の娘ってのは…こんな顔だったかい?」と嫁さんが手で顔をペロリとと撫でると…

ギャァァァーーーーーーッ!!

って展開にならなかったので、まぁヨシとしておこう。

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