横溝正史祭り
昨晩の吉田翠さまの鍾乳洞写真に触発され本日は自宅にて横溝正史祭りを行うことにした。
大の大人が休みだからといって1日中家にいられる訳もなく、祭りと言ってもせいぜい3本くらいかなぁ、と弱気…。じゃあ3本は何にするよ?ってところから始まった。
物語の後味のいいモノ…どんより感の少ないモノをラストにしたかったので3本目は市川崑監督初作の方の「犬神家の一族」。
トップは野村芳太郎監督「八つ墓村」。
そう並べると真ん中も違う監督、違う金田一耕助が欲しくなる。
さてどうしよう?買い物しながら考えてこよう。
ついでにレンタル店へ向かい本日の2本目を借りて来たはいいが、早く観たい気持ちにいろんなモノが押しやられ、本日期限のCDを返し忘れるというアクシデントもあった。かまわん!延滞料金より観るが先だ!
そして13時開演は5分押し…一気に会場の照明が落とされた。
「お庄屋ごろしで寝かせてやろうかーっ」
のMCでイベントは始まった。
「八つ墓村」野村芳太郎監督作品
横溝正史原作では一番好きな作品ですねぇ。
原作も映画も物語の主人公である多治見辰哉目線で進んでいく。金田一耕助はここにおいて主人公を正しく誘う助け人、物語の主軸にはいない。金田一耕助モノでこのパターンは結構あるんですよね。ここでは渥美清さんが演じておられますが、その距離感も含め飄々とした感じの金田一耕助がいい感じで存在していると思います。
辰哉は自身の出生を探る中でとんでもない両親の過去と事件に巻き込まれていく。
謎解き、鍾乳洞の探検、宝探し…エンタメ満載である。
映画は祟り寄せになっているが映像作品であることを思えば、全然オッケーでしょう!
女優陣も皆さん素敵です。お気に入りは春代を演じる山本陽子さん!体面の為にとても気丈でいながら秘めた辰哉への想いを外へ出さぬようガッチリとガードしている!
クライマックスは映画ならでは!金田一の謎解き、鍾乳洞を逃げ惑うショーケンが交錯していく、スゴい!これを観ると同じスタッフ関連で「砂の器」が観たくなります。これも大好き!
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迷った挙げ句2本目は古谷一行さんの金田一耕助が見たかったのでTV横溝正史シリーズの「本陣殺人事件」
このシリーズの影響なのか、俺の中でも古谷一行さんが一番金田一耕助イメージに近いかなぁ。物語道中でも自身の感情の起伏の多めな人間味の強い金田一耕助像だと思います。
この話も結構イヤぁな動機のお話ですけどね。
原作では金田一耕助初登場の作品のようです。
登場人物内の一柳賢蔵は幾つかの映像作品の中でも、此処で演じられている佐藤慶さんが気難しそうな部分で抜きん出ているように感じます。
古谷一行さんのTVシリーズでの警察の協力者にあたる日和警部は長門勇さん。石坂浩二さんの金田一耕助映画作品での相方にあたる橘警察署長や等々力警部補などは加藤武さん(映画よって役名は変わるが似たキャラ)。タイプは違いますがどちらもいいですよね~。
この本陣の女当主も分家のオッサンとできてたりして…横溝作品では現代の社会的にはアウトな登場人物が多い…。
茶木みやこさんのエンディングテーマのインパクトもスゴいですよね。俺はシリーズ2の時の「あざみの如く棘あれば」の方が好みですねぇ。
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3本目は市川崑監督「犬神家の一族」
同監督でリメイクされてますが初作の方ですね。角川映画第一弾!俺も横溝作品との付き合いはここからでした。
石坂浩二さんの金田一耕助です。古谷一行さんに比べると端正過ぎる?と思うのは俺だけではないはず(古谷一行さん申し訳ありません)。
これも女優陣素晴らしい!島田陽子さんの清楚な感じの美しさと坂口良子さんの可愛さが印象的ですねぇ。梅子夫人役の草笛光子さんも実にいい感じです。
白いゴムマスクも湖から突き出た2本の足も映像作品向けの演出ではないのが素敵!原作の世界観が見事に昇華されてますなぁ。財産相続の絡んだ欲深い登場人物達に囲まれ物語は進みます。哀しいのは故犬神佐兵衛翁に誰もが翻弄されてしまっていることだ。
呪縛ってぇのはこういうことなのか?血がそうさせるのか?本人の業だけではこんなことにもならないだろう。作品中、セリフにも出てくるが「恐ろしい偶然」の産物なんだろうか?
まとめて観てみても、あぁあれも観たい…が止まりませんな。古谷一行さんのシリーズも今まで掘ってきましたが、まだ観てないのもあります。ただ野村芳太郎監督繋がりで松本清張原作「砂の器」、あおい輝彦さん繋がりで江戸川乱歩原作「陰獣」が観たくなった。
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