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3幕 犬のチクタク +ロングとアップの接続など


3幕、キャラクターとあらすじ紹介 学校が終わって放課後になりました ワニのカフェテリ 彼女と猫の道化師はこの街にいます ワニさん 絵の上手な店長 の花屋 うさぎさん 料理が得意 犬のチクタク 何故か彼女の後を ついてくるよ 主人公の彼女 猫の道化師と お茶に行くのが とっても嬉しい お化けの通行人達 帰宅ラッシュで大変 猫の道化師 彼女と お茶に行くよ クリスタルショップ ペンギンさん 氷の様な石を集めている
3幕のあらすじです 5シーンもあります 彼女が犬のチクタクに追い かけられながら 色んな所に よっていく話です
4種類のライン 3幕の冒頭、ワニのカフェテリアでの出来事、 は右に4つのラインを用意しました。 カフェテリアに入ってから、 犬のチクタクが来て逃げ出すまでの色々な出来事です。 2幕の時より絵のラインに繋がりがあって、キャラの動きのラインが追加されています。 1つのラインだけ見ても意味があるようにし、各ラインの横の繋がりを考えました。 よく見ていただくと、各ライン一種類の要素では出来ていないですね。 1つずつラインの説明をします。絵のライン 背景や物やキャラの絵で、絵の具→ ワニ登場→時間経過→犬来る→ 逃げ出すの流れを表しています 表の上の、 絵の具→ワニ登場の所は AとBの要素で絵とキャラを繋いで いて左の上のコマの通りです 真ん中は鳥が増える、時計、走る犬で 時間を表しています 下は上の絵を再度使っています 逃げ出すシーンらしく、 後を引く感じで並べています 背景→もの (キャラ)→背景と 交互になってますキャラの動きのライン フルショット バストショト このラインは、2人が階段を登ってきて、 絵を見て座って、お喋りして~・・・という流れを キャラの動きで表現しています 左の図を見て頂くと、それは間違い探しの様な 動きを感じる繋がりです表情のライン 表情の変化が上から下まで繋がっています とてもシンプルです 喜んだり怖がったり、変化しています 手描きの文字で表情に意味をつけて いることで何かが起こっていることが分かります言葉のライン フキダシや擬音語など文字の要素で 繋いだラインです 場所や状況、どんなことを思ったかを 読んでいく事で分かる様に 説明的にしました
自由に組み合わせる 4種類のラインを組んで漫画にしました。 2人が部屋に入ってくる初めのシーンです。 部屋の絵の具からワニへの絵のライン、階段を登って席に座るキャラの動きのライン、 部屋やワニを説明している言葉のライン、表情変化の表情のラインの4つがあります。 上の1段目の部屋の背景はアングルを変えて何度も使い、他のラインと重ねました。 重ねましたが、3コマ目の表情は上段の何処のコマに組み替えて入れてもいい感じです。 中段はキャンバスの絵の具からワニのエプロンの絵の具に視線が、移動するように 組み合わせました。 でも、ここはコマの順番を好みで色々移動しても良さそうです。 下段も、ドリンクの絵はコマを移動しても表情と組み合わせても良さそうです。 2幕で説明したように複数のラインがあると組み合わせを感覚で自由に変えられます。 各ラインは繋がった意味を持つ為、バラバラにして組み合わせても大丈夫と考えます。
ラインごとに色分けしてみました。 本当に4つのラインだけで出来ています。 色んな色のラインをこのように混ぜて繋げることで意味が出ます。 説明しますと、 上段1、2コマ目は、キャラの動きと絵 (背景) で誰が何処で何をしているか表します。 これが、2コマ連続すると絵 (背景) パノラマのように広く感じます。 他を説明します。 キャラの動きと言葉のラインで、誰が何をしてて何を言ったかです(上段4コマ目)。 絵(背景)だけのコマは、場所を印象付けたり間が空いたようになります (中段1コマ目)。 絵(キャラ) と言葉のラインは、その絵について説明を入れられます (中段4コマ目)。 絵(背景) と表情と文字は誰が何処でどんな表情で何を言ったかです (下段3コマ目)。 つまり、ラインどうしの横の関係の組み合わせです。 ひとつひとつはとても単純です。 それを積み木のように長く繋げると複雑な1つのお話のようになります。
余白の流れが現れる 2人がおしゃべりをするシーンを組みました。 白い部分がありますね、余白です。 余白は、他の要素に簡単にくっつくことができます。 上の漫画は、余白を使って キャラと背景を接続したり、複数の文字や1つのセリフを目立たせたりしています。 余白は、下の6つのコマの様に、ラインを組み合わせると自然にできます、不思議です。 つまり、4種類のラインの他にもう1つ余白のラインが現れてしまいます。 それは何か見えないものの流れになります。 漫画はそうなるよう頑張って組みました。
ライン1つだけのソロパート 犬のチクタクが入ってきたシーンです。 上段と中段と下段で見比べていただくと、 中段だけ表情のライン1つだけです。 上段と下段は4つ全部のラインのモザイクです。 複数のラインで組むと、 音楽の楽器1つだけのソロパートの様な部分が作れます。 チクタクが入ってきて、 彼女が怖がる瞬間だけが表情のラインで強調されています。 逆に言えば、表情だけのシーンを作りたかったら、 その前後に他のラインの要素を入れると、表情だけのシーンが引き立つといえます。 表情のラインだけでなく、他のラインでもソロパートの様なコマの流れを作れます。 ① ワニのカフェテリアでの出来事のシーンはまだ続きますが、 作例はここまでです。
1視点目のライン 彼女を写すカメラの視点です チクタクから逃げます 2視点目のライン 犬のチクタクを 写すカメラの視点です 彼女を追いかけます 3視点目のライン お化けの通行人達を 写すカメラ の視点です
追いかけ表現と時間 右のページは ② 逃げる!!のシーンで使うラインの表です。 ワニのカフェテリアを出た後、彼女は犬のチクタクに追いかけられてしまいます。 表を上から下へ見ると、彼女がチクタクに追いかけれているのが分かりますね。 どうしてそう見えるのか説明します。 ロングショット 3つのラインが縦に並んでいますが、どれもカメラで写した様なロングショットです。 ロングショットとは、キャラの全体像とその背後の風景のことです。 ロングショットでキャラの動きを追うように背景の移動を連続させると、 誰が何処にいて何をしてて、何処に行くかなど表せます。 3つの視点になる それぞれ異なったキャラを写すロングショットが表の様に並ぶことで、 視点が複数あるように感じます。 表を説明しますと、 1視点目のラインは、彼女はチクタクから逃げて街を移動していく。 2視点目のラインは、チクタクは彼女を追いかけて街を移動していく。 3視点目のラインは、お化け達が家に向かって歩いている。 となります。 これを複数の 「視点」 と感じるのは、 キャラクターと背景という要素のセットが それぞれ同じなので、並べるとダブっていくつもある様に見えるからだと思います。 時間が表現される 表には、横にブチ抜いてある所があります、 そこは、視点が合わさる所です。 キャラクターを同じ背景に一緒にいさせています。 そうすると複数の視点は合わさり、キャラが同じ時間にいると、時間が表現されます。 各ラインの一番上を見て下さい。 背景が1と2視点目は同じです。 ここだけ見ればこの背景にいるキャラクターがいつここにいるかは分かりません。 でも横にブチ抜いた2段目で視点が合わさり、2つの視点が同じ時間にあると分ります。 ですので1段目はこの直前の出来事であり、同じ背景の2つのシーンは 犬が後ろから彼女に追いついたので、彼女の後を犬が歩いてると、時間が決まります。 これは移動する時間を感じさせる表現だと思います。 その下の2つ目のプチ抜いてある所も同じです。 合わさる視点によって、2つのラインの時間が同時だと定まります。 それに挟まれていくと、一連の時間の中で起こった事に見えます。 最後の方のは背景も時間も合わさりませんので、別々な時の出来事みたいになります。
ロングとアップの接続 右のページは? うさぎの花屋での出来事のシーンで使うラインの表です。 彼女はうさぎの花屋に入った後、 うさぎさん達と晩御飯を食べます。 前の② 逃げる!!のシーンと繋がっていて、 3視点目のお化け達のラインが消えて 彼女を写す1視点目のラインに、言葉と絵と表情で出来たアップショットの流れが 接続されました。 どうして接続できるのか説明します。 ロングショットとアップショット ロングショットは2逃げる!!のシーンで説明したことと同じ、 キャラの全体像とその背景です。 アップショットはキャラや風景など被写体に近づいて見た、絵のことです。 1視点目の右をロングショットの流れ、左をアップショットの流れにしています。 ロングショット アップショット ひとつの視点に接続することができる ロングショットの流れを上からを読んでみると、彼女とうさぎさんが花屋にいて、 子うさぎが現れて、ご飯の用意が始まって、という意味のある繋がりです。 アップの流れは、右のロングショットの流れの絵の部分をアップして出来ています。 出来事の詳細がアップのシーンで分かる感じです。 どちらも同じ時と場所のものです。 ですので表の様に、ロングとアップの流れはひとつの視点に接続することができます。 アップショットの流れ 表のアップショットの流れも上から読んでみると、 彼女は花がある所にいて、オムライスを見て困っていたけど、結局食べている。 と、 アップショットの流れにも意味があります。 アップとロングで2つ流れがありますね。 どちらも、意味のある繋がりにすると読者は、アップとロングの2つの流れだけを 読めばいいので、分かりやすくなると思います。 あと、ロングショットの何処をアップショットにするかは、変更できるものです。 変更するとお話の感じが変わると思います。
追いかけ表現と時間 2 逃げる!!のシーンのラインの表を、小さなコマですが漫画に組みました。 追いかけていることと、その間の時間を感じるでしょうか。上段は表の絵をそのまま貼り付けています。 真横から見た所です。 中段と下段はアングルをつけたり、アップにしたり、トリミングしたりしています。 それにより臨場感が出てこういう構造をしているのがわからなくなればいいなと、 描きましたが、うまくやればわからなくなると思います。 こういうシーンは漫画や映画でよく目にします。 エンターテイメントな作品で、これはエンタメだと宣言するように使われると思います。 追いかけられている理由、追いかけている理由、その場所。 走る?戦う? どこに向かうか。 色々変えれば色々な追いかけが、 作れると思います。
ロングとアップの接続 ③ うさぎの花屋での出来事のシーンのラインの表を小さなコマですが漫画に組みました。 ロン グショットの次にはアップショットと交互になっております。 こちらもアングルを変えたり、 トリミングしたり、二度使ったりしております。 ロングショットの所で少し場面が動きます。 うさぎさんが彼女が座る椅子を持ってきて、次に晩御飯の用意が始まると いったように動いています。 対してアップショットの方は、 彼女がその時、どんな花を見ていたのか、 どんな表情なのか、どんなオムライスなのか細かいことを表しています。 こうやって交互にロングショットとアップショットを使うと、 どんな時、これはこうだったと、ロングとアップで意味を説明し合うことができます。
出来事のライン ロングショットや物の絵です 出来事を表しています 表情のライン 表情のアップです セリフ、思考バルーン はここから発しています タ く何も 内面のライン 彼女が見た物や夢です 内面のイメージを 表しています
3つのラインの関係 前ページのラインの表は右が、 4 ペンギンのクリスタルショップでの出来事で、 左が、 5 深夜の街での出来事のシーンです。 は、沢山走って疲れてしまった彼女が、ペンギンのクリスタルショップに入って ソファーで眠ってしまい、夢を見る。 と、いうシーンです。 は、クリスタルショップを出た彼女とチクタクが深夜の街をさまようシーンです。 左右どちらも同じ3つのラインで出来ています。 それはどの様なものか説明します。 独立した3つのライン このシーンの3つのラインは、以下の3つです。 1つは、ロングショットと物の絵で、 出来事のライン。 2つは、表情変化だけのアップの繋がりで、表情のライン。 3つは、彼女が見た物のイメージや、夢で、内面のライン、です。 言葉はラインには入れないで、表情のラインから発せられるように、セリフを 出来事のライン側へ、思考バルーンを内面のライン側へ、浮かべるように配置しました。 真ん中の表情のラインが他の2つのラインを繋ぐ窓みたいに見えますのが特徴的です。 この3つのラインは、 絵と絵を合わせて1つのコマにすることができません。 表情のラインは画面いっぱいに描くアップなので、 他のものを描く余白がありません。 出来事のラインと内面のラインも、 背景とイメージの絵で画面が満たされているので、 他のものと合わさる余地はありません。 3つのラインはそれぞれ独立した流れです。 出来事 、 表情、内面 つまり、この3つのラインは、 どんなことが起こっている時、どんな表情で、 どんな気持ちでいるかを独立した流れで表します。 それは出来事、表情、内面です。 この3つは、3つ絡め合わせて表現できる関係性を持っています。 表の冒頭を見て頂くと、彼女はチクタクから逃げている時、一生懸命な表情で、 不安で滲む風景の様な気持ちでいるといった感じです。 この3つだけで漫画になります。 面白いお話にするには、この3つを色々な方法で上手く組まないといけないでしょう。 その方法の1つに、3つのうちの、2つの関係の中にもう1つを挟み込む、 というのがあります。 それは次の3通りの組み合わせがあります。 ① 出来事と表情の繋がりの中に内面 ②表情と内面の繋がりの中に出来事 ③ 出来事と内面の繋がりの中に表情 次からのページに、3通り漫画に組んで説明を描きました。
① 出来事と表情の繋がりの中に内面 ペンギンのクリスタルショップでの出来事の冒頭を漫画に組みました。 出来事と表情の繋がりの中に、 フワッと内面のイメージが入っています。 彼女が犬のチクタクから一生懸命走って逃げているシーンです。 彼女の表情のこのアップは表には1つしかないけれど、 3度使っています。 枠線のあるコマが出来事のラインと、その時の表情のラインです。 その間に枠線のない内面のラインの街の絵が挟まれています。 出来事と表情は、「一生懸命な表情で走っている」 が分かる繋がりで、 とても自然な繋がりです。 なので強い関係だと思います。 その2つの間に内面のラインの絵が挟み込まれるよう組みました。 「不安に感じているような澄んだ街の風景」 の内面のラインです。 なんか不思議な重なりを感じると思います。 こういう表現は、3つのラインがあるからできると思います。
② 表情と内面の繋がりの中に出来事 ペンギンのクリスタルショップでの出来事の後半を漫画に組みました。 表情と内面の繋がりの中にスッと出来事が入ってきています。 彼女が、見ていた夢から目覚めるシーンです。 点線のコマが表情変化のラインと、その時見ていた夢の内面のラインです。 その間に、太線の枠線の出来事のラインが挟まれています。 表情と内面のラインは「こんな夢をこんな表情で見ている」と分かる自然な繋がりです。 彼女が夢の中にいることがこの繋がりで分かる強い繋がりです。 その関係の間に「ソファーで寝ている」 現実の出来事のラインを挟み込みました。 そうすると、夢から目覚めるシーンが作れます。 色んな表現でよく使われると思います。 夢の内容が過去の思い出でも、同じ様にそれから目覚めるシーンが描けそうです。
③ 出来事と内面の繋がりの中に表情 深夜の街での出来事のシーンを漫画に組みました。 出来事と内面の繋がりの中に表情変化がキラキラと入っています。 心臓の音 彼女とチクタクが深夜の街をさまようシーンで 出来事のラインと、内面のラインが黒い枠線と黒ベタのコマです。 その間に、六角形の枠線の表情のラインが挟まれています。 「チクタクを抱き上げながら雨が降ってくるかもしれないと感じている」というのが、 出来事と内面のラインで、その時、 「どう感じたのか」 が、 表情変化のラインです。 雨粒と、目の前の出来事と両方彼女は感じていて、最後にそれは1つになります。 2つのラインで表情変化を表すよりも、こうやって3つのラインの中で表情変化を 表した方が、表情が映えるかなと思います。

こちらは、瞳の中の世界【シナリオ付き漫画技法書】というマガジンです。全部で4幕あります。それぞれ違う方法でシナリオを提示しています。この3幕は、シナリオをいろんな漫画記号の繋がり出できたラインの組み合わせで提示してみました。最後の出来事・表情・内面の3つの関係は少女漫画みたいです。4幕を1つにまとめたものをBOOTHで通販中です。冊子版と電子版とあります。


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