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米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section D

 今回も、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」の続きを掲載します。


セクションD: 造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種後の血清学的検査


Q. COVID-19ワクチン接種後のCOVID-19抗体検査の意義と時期について

 スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対する中和抗体は、再感染予防において重要であると考えられていますが、ヌクレオカプシドに対する抗体はそうではないと考えられています。健康な人が軽度から中等度のCOVID-19に感染した場合、高い抗体価は初感染後5か月まで持続しました。同様に、COVID-19 ワクチン接種でも抗体反応が期待されます。しかし造血細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるワクチン接種後の抗体検査の役割は明確ではないため、研究目的でない限りは、抗体検査を定期的に行うことは推奨しません。

 一方、患者さんや医療関係者が抗体検査を希望する場合は、2回目のワクチン接種後30日から90日の間に、スパイクタンパクに対する抗体の検査を行うことを推奨します。重要なのは、市販の抗体検査の中には、ヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体を検査するものがあることです。これは、COVID-19ワクチンに対する免疫反応を示すものではありません。

 また、国内で新型コロナウイルス感染者が増加し、ワクチン接種が行われるようになると、免疫グロブリン製剤にSARS-CoV-2のスパイクおよびヌクレオカプシドタンパクに対する抗体が含まれる可能性があります。したがって、偽陽性の結果が出る可能性があるため、免疫グロブリン投与後4週間以内にSARS-CoV-2抗体の検査を行うことは推奨しません

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