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2023/04/19 小銭入れの中全部ぶっこみたい

自分の身体的な疲労度を客観的に観測する方法として「小銭入れの中を見る」がある。
私は常に最適化を目指して小銭を管理しているので、小銭入れは常に千円未満で最小限の枚数で保持されている。
ただし、疲れがかさむなどしてそんなけったいな真似をしていられなくなると、簡単に札を出すようになる。小銭だけが入ってくる。こうして小銭だけで千円以上、五円玉が三枚、一円玉が八枚、五十円玉が3枚などになり、ジャリジャリになった小銭入れを「疲れた財布」と呼ぶ。

私は疲れたとき以外、よっぽど声のでかいオッサンが後ろの列でキレ散らかしていない限り、レジでなんぼでも小銭の枚数を確認して最適解を出す努力をするのだが、なんかそうもいかない事態がこないだ出た。ダイソーのセルフレジだった。
いつからか知らないけど、一部の店舗でダイソーは有人レジが消えた(徒歩圏内に三店舗あるけど、一店舗でしか確認していない)。
そうなると戸惑うのはレジを打った経験のない人である。まあ、わからない人をサポートするためのスタッフがいるので会計に問題はない。とはいえ「とはいえ」なので、レジの前はそれなりの列ができていた(客の回転速度が客自身の技量に依存している……)。
ところで、私は元書店員で、こち亀まとめ買い、ワンピースまとめ買い(カバー付き(こっちは儀礼的に「カバーつけますか」と尋ねないといけないのに「あ、せっかくならじゃあもらっておこうかな」というノリで「ハイ」と答えたあの客をいまだに忘れていない))をさばいた経験があるので、それなりの矜持がある。
自分の買うもののケツくらい拭いてみせまさあね……、という気持ちで、ちゃっちゃか会計こなしてとっとと去るつもりが、バーコード通して、財布開いたらこれ「疲れた財布」だウワー! ガストのドリンクバーで元取ろうとした中学生の胃袋みたいにだっぽんだっぽんの小銭入れがあった。

私はよっぽど声のでかいオッサンが後ろの列でキレ散らかしてない限り、レジでなんぼでも小銭の枚数を確認して最適解を出す努力をするのだが、後ろの客に「アイツのレジおせえ……」と思われるのだけは嫌だった。
窮したので、小銭入れの中を全部ぶち込んだ。セルフレジに。
・何も考えなくいていい。
・レジくんがすべて最適化してくれる。
・ぶちこむのが楽しい。
・整然とした小銭が返ってくるので気持ちがいい。
この一連の動作が数秒で済む快楽がすごかった。すごい気持ちが良かった。私はなんら後ろ髪を引かれることなく、さっそうとダイソーを去ることができた。

最近は店員が金の処理をする時だけ自動みたいなところが増えたけど、正味、あそこも自分でやらせて欲しい。小銭入れの中全部ぶっこみたい。小銭入れを最適化したい。これが人類が本当にAIにやってもらいたいことだと思う。


最近、作った曲です。よければ聴いてくれると嬉しいです。


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