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闇夜のカラス
2021年5月12日 17:43
「こんにちは」 僕はその声を聞いて、目を開けた。目線を下げて、足元を見下ろす。透明な壁の向こうに、空色の小さな巻き毛の塊がある。記憶ライブラリで照合する……『犬』。 巻き毛の中から、焦茶色の眼が見えた。丸くて艶々に光るその眼は僕の目を見つめる。僕も見つめ返し、発声してみる。「こんにちは」 巻き毛の塊は尻尾をちょこちょこ動かして、その場でぴょんと小さく跳ねた。“それ”から、また声が聞こえた