統合失調症を生きるVol2

薬を使わない治療、オープンダイアローグ

前回のブログで、私は薬をお守りのように思って、副作用もあるけれど服薬していると書きました。症状が安定してから、私は月に一回診察を受けて、薬を処方してもらっています。時々服用するのが嫌になることもある薬。それでも服用しています。治療に必要だと思っているからです。

そんな薬を使わずに、統合失調症をはじめとする精神疾患を治療し、効果を上げている医療の手法があるということをカウンセリングの先生の妙さんに教えてもらいました。フィンランド発のオープンダイアローグというアプローチです。「薬を使わないで、病気がよくなるなんてすごい!」と思いました。

そして、「『オーぷダイアローグ』フィンランドにおける精神病治療への代替えアプローチの『開かれた対話』」(ダニエル・マックラ―監督)の映画をYouTubeで見ました。そして、精神科の斎藤環先生の訳・著の「オープンダイアローグとは何か」という本を読みました。

映画を見て、そして本を読んで「すごい!」という想いは確信になり、「自分もこんな治療を受けてみたい!」という思いになりました。

オープンダイアローグを実施しているフィンランドのケロプダス病院では、患者もしくはその家族から、オフィスに相談依頼の電話が入ると、医療チームを招集し、依頼から24時間以内に初回ミーティングが開かれます。参加者は患者本人とその家族、親戚、医師、看護師、心理士、そのほか親しい友人とか本人に関わる重要な人物なら誰でもいいのです。この「オープン」なところが、この治療法の特徴です。オープンダイアローグは、しばしば患者の自宅自宅とか、一室で行われることもあるし、病室で行われることもあります。

私が普段受けている、診察との違いに驚きを覚えて、YouTubeの「斎藤環にきいた」を見ました。まとめてみます。

オープンダイアローグは対話によるケアです。治療ではなくて、ケアです。治療は異常に注目するが、ケアは健康な面に注目して、その方向にもっていこうとすることです。

オープンダイアローグでは、リフレクティングという手法が使われます。それは、「自分の目の前で自分の噂話をされる」という状況に近いです。人は往々にして、自分に直接向けられた評価よりも、誰か他人の評価を間接的に聞かされるほおうが、信ぴょう性が高いと感じがちです。「あなたはよく頑張っている」と言われるよりも、、「あなたがすごく頑張っていると○○さんが褒めていましたよ」と言われる方がずっと嬉しいのです。ポジティブな言葉がけで、その人を評価します。安心・安全な雰囲気の中で、異なる視点を根幹し続けていると、次第にポジティブな変化が起きてくるのです。それによって、自己対話が刺激されます。それによって極端に人が変わるのです。

薬物と保護室では変わらなかった患者が、対話によるアプローチで、劇的に変わるのです。安心・安全な対話空間がそして尊厳を保たれた空間が、患者を変えるのです。

対話の中では、沈黙がとても大切です。それは、内的対話だからです。垂直方向の対話であり、自分と他人の違いを深堀りすることにより、自分自身を知ることができるのです。そして、違いを尊重することがとても大切です。

オープンダイアローグでは、患者を否定するのではなく、「あなたが経験していることは、私にはわからない。だから、もっと教えて欲しい」と、患者の尊厳を尊重し変えようとしないから、変化するのです。説得・議論・説明・アドバイスはいらないのです。いろんな意見があっていいのです。そして、余白が大切なのです。

オープンダイアローグは、精神医療の現場だけでなく、学校や家庭でも有効なのです。


精神疾患は、薬で治療するというのが、日本の精神医療の主流の考えです。私も18年間、そんな治療を受けてきました。私がラッキーだったのは、主治医の先生の診察だけでなく、担当のスタッフさんの面談を毎週受けられることです。でも、この画期的なオープンダイアローグの対話による治療とはかなり、開きがあります。

オープンダイアローグについて学んでみて、私がここ最近学んでいる、赤羽雄二さんの提唱されている、アクティブリスニングとの共通点を感じました。赤羽さんも、とにかく真剣に、徹底的に話を聞くことの大切さと、アドバイスをしないこと、そして沈黙を大切にすることを説かれています。

18年間もの長い月日を私は、統合失調症という病気を抱えて生きてきました。治療も正直、惰性というかあきらめというか、そんな気持ちで受けているところがありました。でも、「治すんだ!」「よくなりたいんだ!」という気持ちで、自分の病気と対峙していきたいと思いました。そのための学びをこれからも続けていきます。



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