050-5532-8024は、詐欺番号です。
トロイの木馬に感染しています・・・
さて、実は一昨日、恐ろしい状況に襲われていました。ただ、私ではありません。家内のことです。
外出先から帰宅途中、いつもよりも少し遅い帰宅だったところ、メッセンヤーに「トロイの木馬」というメッセージが入ってきました。
これは、「ノロイ!早く帰ってこい!」というメッセージだと思い、既読無視としたところ、どうも、そのあとの連絡がおかしく・・・
トロイの木馬、のあとに、別の行で、「に感染」ときた・・・。
次に、「Microsoftと電話」とある。
完全に、おかしい・・・。
パソコンが何かおかしくなったのか確認してみると、「メインのパソコン」ときた。まじで、やばい。
でも、私がマジでヤバイと感じたのは、次のメッセージ・・・。
「GooglePlayカードが必要」
いや、これ、完全に詐欺だろう?詐欺だよね?詐欺確定でしょう!なんでわからないの?馬鹿じゃないの?という心の声が叫び続ける状況の中、乗っているバスは渋滞に巻き込まれそうな気配になっていて、いつもの一つ前の停留所で下車。家路を急ぐ。
家に着いたら、更に恐ろしい事態になっていた。
パソコンが乗っ取られている!
家内のパソコンの画面を見ると、なんとそこには、家内と私が写っている画像というか、動画がそこには展開されていた!
要するに、その時点で完全にハッキングされている状態なのである・・・。
私と彼女の動きが丸見えの状態である。こちらとしては、かなり不利な状況。
しかも、彼女いわく、Microsoftと電話がつながっているとのこと。彼女の携帯が、相手とつながっているという。
そんな馬鹿な!Microsoftがそんなアナログなサポートするわけないだろ!と思いつつ、彼女に説明している暇はない。とにかく、一刻も早く、このPCの主導権を取り戻さなければならない!
私はとりあえず、PCの右下(Windowsだから)にあるWi-Fiのマークのところにマウスを寄せて、Wi-Fiを切断しようとしたが、向こうがマウスをコントロールしていて、私に操作をさせてくれない。回線を切断されたら、向こうとしては、ジ・エンドだからなのだろう。
それで、家内が「Microsoftと話して!」というので携帯を取ると、「電話を切らないでください!」と、中国なまりの日本語で、相手は喋ってくる。この時点で、私の中では300%、詐欺確定である。
ここから、家内も相手も、私の作業を邪魔しようとしてくるが、そんなことはお構いなしだ!
やるべきことは、ただひとつ。
相手との接続を切断するということだ。切断してしまえば、もう向こうは直接攻撃はできない。
このPCが、どのLAN(複数のLANの契約をしているので、特定する必要がある)に接続しているのか確認すると、2つに絞られた。急いでPCの画面を閉じ、LANの電源を抜く。気がついたら、携帯の接続は切れていた。向こうも、PCの接続を切られた時点で諦めたらしい。
しかし問題は、この時点でも、家内は私が勝手なことをやった、と思っていたことだ。詐欺にあったという自覚が、ゼロだったのだ・・・。
PCの復旧作業に移る
さて、LANが切断されたPCは、普通に動いたので、早速「Windowsの、システムの回復」作業を行う。PCの状態を、数日前のチェックポイントまで戻すというやつだ。ウイルスに汚染されたときなどに行う作業である。変なアプリケーションを入れたあとに、やっぱりもとに戻そうという際に、やる作業である。私は以前もこの作業はやったことがあったので、この作業を始めて、あとは待つだけ、という状態になった。
ここで、LANの電源を入れて、シャワーを浴びた。
まあ、これで、あとは、パソコンの中のデータをコピーされていないことを祈ろう!という状況になった。これはどういうことかというと、パソコンの中に、クレジットカード情報等がある場合、そのデータを利用して不正利用される可能性が残っているということだ。これは、そのクレジットカード会社に電話しておけば、とりあえずはなんとかなる。
もし、不正利用された履歴がある場合は、カードの再発行となるが、基本的には、それだけで済む・・・。
それで、シャワー後、PCを確認すると、PCはとりあえず普通に動作していて、唯一、Google Chromeだけが起動しないという状況だったので、再度ダウンロード&(上書き)インストールした。これにて、一件落着。
・・・ということが、起こっていたのである。
みなさんも、似たようなことがあるかもしれないが、気をつけていただきたい。
詐欺の手口の検証
今回の詐欺の手口は、個人的にみると、穴だらけではあったのだが、なかなか手が込んでいるので、初心者は、騙されてしまうのかもしれない。そこで、ここからは、検証作業に移ろう。
まずは、トロイの木馬、についてだ。
このような画面が、PCが乗っ取られた直後、最初に表示されたらしい。もっとも、この時点では、PCが乗っ取られただけで、「回線」は乗っ取られていないのだ。
どういうことかというと、上記の画面を表示させて、この画面を閉じようとしても閉じられないようにする、というプログラムが作動しているに過ぎないということだ。それで、どうやっても画面が閉じられないので、右下にでている「Microsoftのサポートダイヤル」に電話するしかないという状況を作るのだ。
それで電話したら、ブラウザに、電話で指定されたアドレス「www.XXXXXX.com」みたいな、任意のアドレスの入力を求められたらしい。個人的には、「画面は閉じられないけど、入力はできるんだ!」というところが驚きだったが、そのアドレスを入力することで「Microsoftが遠隔でサポートできる」ようになるということらしかった。実際には、これによって、PCの乗っ取りをするというわけだ。
つまり、この時点で初めて「乗っ取り」が確定したということになる。
皮肉なことに、そういう意味では「トロイの木馬」は存在していなかったということになる。トロイの木馬とは、あれは、いつの話か知らないが、プレゼントと称して敵に贈られた「木馬」の中に、実は兵士が忍び込んでいて、夜になってその兵士が木馬から出てきて、相手国を滅ぼすとかなんとか、そういう話だったように思う。つまり、知らず知らずのうちに、自分を滅ぼしてしまうものを、自分で招き入れてしまうウイルスを、トロイの木馬ウイルスというのだ。
そういう意味では、ここにはウイルスらしいウイルスは存在せず、PCの画面を乗っ取るアプリが存在しただけだ。あとは、実はアナログ的な作業が取られている。電話で指定のアドレスを伝えて、アナログ的に入力させる、というような手法である。
では、どうしてそのような画面が表示されるようになったのか、これは実は、よくわかっていない。彼女はよくネットショッピングをするので、その過程で、変なサイトにつながる広告画面をクリックしてしまったのだろう。
さて、次は、詐欺の目的について、だ。
今回の詐欺の驚くべき手口は、Google Playカードを利用したことだ。
ちょっと考えてみてほしい。そもそも、Microsoftが、ライバル会社でもあるGoogleの製品で支払いをさせようとするだろうか?また、Google Playカードによる支払いによるサポートで、3年間で5万円、5年間で7万円とか言っていたらしい。
オカシイだろ!
普通に考えてみて、ありえないだろ!
・・・とか思うのだが、当の本人は、その日寝る頃まで、釈然としていなかったらしい。それこそ、私に言わせれば、ありえないのだが・・・。
と、ここで更に検証作業。
今回、なぜクレジットカード番号を入力させなかったのか、だ。これは、先方が、クレジットカードを使用したときに、「足が付く」のを恐れたのではないかというのが、私の見方だ。PC経由でのクレジットカード番号なので、その不正使用も、ネットショッピングに限る。でも、購入すれば、どうしてもそこに、履歴は残る。クレジットカードを利用した際のIPアドレスは、どうしても、サイトに残ってしまう。クレジットカード会社も、高額な建て替えなどしたくはないから、不正利用の場合は、開示要求をするだろう。
それを防ぎたかったのではないか、と思われる。
実は、タイトルに載せた050で始まるIP電話の番号だが、調べたところ、迷惑電話データベースにもヒットしなかった。おそらく、もうつながらなくなっているのではないか?つまり、足が付くのを非常に恐れている詐欺グループであったということだ。結果的に、それが功を奏したということになる。皮肉なものだ。
それで、支払いをGoogle Playカードにしたのは、その番号を伝えてもらい、要するに、「課金」してもらった状況であれば、その課金されたものは、詐欺グループのものであり、足がつかないからだ。
教えてもらうのは、その番号だけで、アカウントに課金するのは、詐欺グループ本人だからだ。そういう意味では、「うまいな」と思った。IP電話の番号は、すぐに解約するだろうし、騙されて支払いした人は、勝手にサポートされていると思い続けてくれるから、確かにこの方法だと、足がつきにくい。実際には、騙されている人はもっといて、詐欺だと気がついていないまま、Microsoftにサポートしてもらっていると思いこんでいるんだろう。
そう考えると、かなり巧妙である。
あ、あと、家内が所有しているクレジットカードは一枚だけで、そのサポートには、ちゃんと連絡するように彼女には伝えておいた。実際に電話したかどうか一度聞いたら、「今は時間外だから!」と答えてきたので、電話しているとは思う。また、今回は完全に詐欺は失敗に終わったので、相手も警戒して、カードの不正使用はしようとしないであろう。
にしても、私が最も苛ついていたのは、詐欺にやられそうだったことではない。ちょうどその前日、家内は「7人の秘書」という、テレビドラマをPalaviか何かで見ていた。PCハッキングとか、そういうのが思いっきり出てくるドラマである。
ああいうドラマを好きで見ているのに、なんで自分が置かれている状況がわからなかったのか!ということだ。『現実は小説より奇なり』ということか。
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