見出し画像

<春の庭から>未来の景観をどうつくる?桜にも寿命があるのよ

こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。
先週末は、どこもかしこもお花見の話題でもちきりでしたね。
そんな中「桜の移植はできるのか?」について質問があったので、今日はそのお話から私が感じていることを書いてみようかと。

桜は移植できるのか

桜は、基本的に移植(一方の場所に植わっていた桜を別の場所に移動する。)するには難しい木だとされています。
それでも、見事な桜をどうにか別の場所で見たい!この桜を残したい!と言った場合には移植することは可能です。

<移植のPOINT>
健康な桜の樹であること
時期を厳守すること(地域により12月〜3月が適期)
根回しをしっかりすること(造園の技術用語でビジネス用語ではない)
④移植後の管理をしっかりすること

大きな樹になればなるほど、移植による立ち枯れのリスクが高くなるのと、大型の機械が必要になるので、費用面も含めてよく検討する必要があります。

根回し

「根回し」を行うことで、運搬時の土の流出による根の崩れも低減できますし、新し場所の土との活着がよくなったり、細根が発根しやすくなったりといった効果が期待できます。

職人さんによって、「(根回しは)絶対に必要。」という方と「そうでもないよ。」という方「時と場合によるかな。」という方など、いろんな方がいらっしゃいますが、私は移植先で元気で生きてくれる方法を選択してくれると思って職人さんの判断を信じお任せするようにしています。

根回しに対するいろんな考えがあるよ
根回しってこんな感じ。
この樹は園庭に植わったシマトネリコ

水やり

移植後の水やりの第一段階は、新たな場所の土と根っこがしっかり活着するためにやる「水締め」
そして第二段階は、新たな根・葉を出してもらうための「冠水」になります。

水鉢を作って、しっかりとそこに水を入れていきます。
こちらは園庭に植えたブルーベリーの移植の時の様子。

もしも、ポットに植わっている苗木を購入してきて庭に植える際にも、植え替え時にはたーっぷりとお水をあげます。
その後は気候と相談しながら、水切れが起こらないように注意深く観察して、適宜水をあげてくださいね。

樹を「切る」ってどゆこと?

数年前、「○○公園の樹を切ることを多くの方が反対している」と言ったニュースでネットがちょっと騒いだのを目にしました。

そのことについて、造園屋さんの友人たちと話をした時のこと。
「一概に「樹を切ること=悪」だと言って大騒ぎするのはちょっと違う気がするよね。」という話になったんですよね。

そもそも「切る」という表現は、根元から切ってしまう(伐採)ことなのか、伸びすぎた枝を切る(剪定)ことなのか。元のニュースには書かれてはいませんでしたから。

反対が出た原因は、
①「樹を切る理由」を丁寧に説明しなかったこと。
②「樹を切った後の景観がどのように変わるのか」という未来の景観を見せられなかったこと。
この2つが大きかったのかな。と思います。

「樹にも寿命がある。」

樹にも寿命があります。という話をすると、「え?」と驚かれることがあります。
いやいや、だって何度も言っているじゃないですか「植物は生き物ですよ。」って。

桜の寿命もありまして、桜はだいたい50年〜80年。梅の木はもう少し長くて70年〜100年とも言われています。

もちろんもっと長生きする場合もありますが、それは人間と同じ。長生きする人はすんごい長生き。ですもんね。

天寿を全うした樹はどうなるのか

さて、天寿を全うした樹はどうなるのでしょうか。

人も入らないような森の中では、天寿を全うした樹は朽ちて折れたり倒れたりして、最終的には森の他の植物や虫・菌類の餌になり徐々に土へ還っていきます。

さ、これが通行量の多い場所で起こったら、、、
突然頭上から枝が降ってきた!目の前で樹が倒れて道を塞いだ!なんて夕方のニュースなんかで大騒ぎになるのでしょうか。
「樹の寿命だったんだな。」と穏やかな気持ちで見守れることは限りなくゼロに近いでしょうね。

そうなる前に、「(人々の安全のために)樹を切らざる終えない。」という状況が起こります。

樹を切ることを納得するために

この仕事をしていると「やむおえず撤去せざるおえない樹」とも少なからず出会います。

そんな時私は、自分やお客様が納得するためにも、
①その樹とさよならしなくてはならない理由
②その樹のあった場所が未来はどんな景観になるのか。
③伐採した幹や枝の活用方法はないのか?
これらを整理します。

ありがとうお疲れ様の儀式

その場所では生きられない樹については、できるなら生かす方法を模索しますが、どうしても難しかった場合には伐採作業になります。

その樹には『ありがとう・お疲れ様の儀式』をします。(⇦私が勝手にそう呼んでいるだけ。
伐採する前に、米・塩・酒を撒いて、最後に樹に感謝の思いを伝えてから作業に入るのです。)

「伐採する。」も「生かす。」も、人間が判断するんです。

そして、人間基準で考えた場合に正解はないと思います。

だけど、植物も生き物だから、その命と向き合える限りは向き合って、結論が出していけたらな。と思っています。

とある日のお神酒。

まとめー桜を見ながら思うこと徒然

あっちこっちに話が飛んで「何が書きたかったのか」というのもまとまりなく終わりに向かっています(笑)
長い分に最後まで付き合ってくださりありがとうございました。

桜の咲くこの季節。
普段植物に興味のない方が意外に面白い素朴な疑問を持ってきてくださることがあります。

そこを掘り下げていくと、あんなこともあったな。こんなことがあったな。とついつい話が蛇行するのでした。

4月7日 散りかけの桜

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。



この記事が参加している募集

みんなでつくる春アルバム

よろしければサポートをお願いします!創作活動の資金にしたいと思います!!