見出し画像

女神の壊れた天秤14~自転車事故 裁判の行方~

沈黙する者は同意するものとみなされる

数々の証拠や判例を添えた訴状を問題なく提出することができ
しばらくは放心状態でした。

保険会社には、最後の電話で「裁判しかないですね」と言われ
その際に「そうですね」と返事をしたので
(訴訟を起こす意思を伝えたことになるかと)
わざわざ連絡はしませんでした。

相手にもすぐに訴状は届いたようでしたが、
結局保険会社からは裁判が終わるまで連絡がくることはありませんでした。
(もうなにも連絡することがないため当然ですが)

そんぽADRとは電話で訴訟になった旨をお話ししたところ
その場合は全ての手続きが停止となるということで
こちらでのやりとりも終了となりました。
ADRから毎年発行される「紛争解決等業務に関する実施状況等」
という報告書を見ても、過失割合を解決するのには
ADRでの和解協議は向いていないように思えます。
(そのほかでは本当に力になってくれます)

画像1

裁判には段階があり、賠償請求の金額などによって
訴訟を起こす裁判所が異なります。

もちろん最初から簡易裁判でも良いのですが
裁判初心者で全ての手続きがわからないし、
金額的にも妥当である簡易裁判を選びました。

しかし事前に調べたり聞いたところ、
保険会社の弁護士は100%簡易裁判に引き上げるということです。
少額裁判はその日のうちに訴状の内容のみで判定されるため
明らかにどちらかに非がある場合でないと難しいということです。
(私も万が一、またこのような目に遭った場合は、
 回り道とわかっているので簡易裁判から始めます。

画像2

通常、原告が出した訴状に対し、被告は答弁書をもって反論します。
「訴状には○○とあったが、事実はこうだった。その証拠に…」
「この事例では△△とあるため、被告に非はない」といった
被告に事故の責任がないことを、証拠をもって説明するのです。

答弁書はいつまでたっても届きませんでした。
これも私はまったく不思議ではありませんでした。
ナメられているのだろう、という気持ちもありましたが、
それ以上に、相手に反論する余地などなかったからです。

交通法において事故の相手は数々の違法を犯していましたし
このケースで相手の過失が軽かった判例など皆無だったのです。
(国会図書館を含む、多くの判例データベースで調べました)

前日にFAXで2まい、届いた答弁書を見ても
とうてい反論といえるものではありませんでした。

沈黙する者は同意するものとみなされる。
これは裁判では、無回答は同意に等しいことになるということです。
相手は私の訴状に同意せざるを得なかったことになります。

それでも、生まれて初めての裁判。
こんなに緊張したことはありませんでした。

裁判所は入り口から重くものものしく、
中を歩く人全てに対し警戒してしまったくらいです。

しかし実際、裁判が始まると、届けを出した時にお話しし
電話で連絡をくれた書記官さんはとても優しかったですし
裁判官も司法委員も、厳格ながら威圧感などなく
初心者でとまどうばかりの私をフォローしつつ
終始穏やかに進行してくれました。

相手の弁護士も、このような少額の事例に関わることになり
いろいろ面倒そうではありましたが
私に対しては終始丁寧で、紳士的に接してくれました。
私が取るに足らないということもありますが笑、
どの弁護士さんも、客観性や倫理を重んじていて
常に理知的で冷静な態度で行うものなのだと感じました。
(私が相談していた弁護士さんたちも、
 手放しで同意したり同情することなど皆無で、
 時おり厳しい見方や意見を述べてくれました)

画像3

原告や被告にもよ りますが、裁判は本来、とても静かな話し合いです。
映画やテレビなどで見られる裁判は刑事裁判が多いので
ケンケンゴウゴウ検察と弁護士が言葉を戦わせるのを見かけますし
民事でも離婚裁判では怒りや悲しみが出るため
(これは当然のことだと思います)
強い言葉や感情のこもった言葉になると思われますが、
交通裁判はひたすら「事実とその証拠の確認」です。

それも事前に提出した書類が全てなので、
当日は「あなたの出した書類、この内容でOKね?」という
裁判官からの確認のみでした。
(第二回からは多少、内容についてふれましたが)

あっという間に終わった第一回、帰りの電車で気が抜けるのと同時に
「絶対に勝つ!」という闘志に燃えていました。

次回「法は些事にこだわらず」

Related Sites はちめんタイムズ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?