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冬至 ~新しい始まり~

今日は冬至。一年のうちで最も昼が短く夜が長くなる日です。
易(えき)では、冬至を一年の区切りとします。易占をする人の中には、この日に翌年の運勢を占うという人も多いようです。少し早いですが、冬至は新しい一年の始まり。
 
この冬至を一年の区切りとする考え方について、私はとても「易らしい」と感じます。
 
易(えき)では陰陽で物事を表します。たとえば
陽は、明るいこと/強いもの/暖かいこと/動くもの/昼 etc.
陰は、暗いこと/弱いもの/寒いこと/静かなもの/夜 etc.
陰陽を組み合わせて、さまざまなことを表すのが易です。
 
ちなみに冬至は、「陰」が並んでいる一番下に「陽」が射しこむ形で表します。

地雷復
地雷復(ちらいふく)

昼が短く夜が一番長くなる冬至は、暗さを表す「陰」が一番強まる日。そして一番暗い時とは、すなわち暗さが底を打った時。これから少しずつ夜が短く昼が長くなっていく転換点でもあります。それを易では、陰の中に陽が一つ射しこむという形で、陽が増えていく流れに転じたことを示します。
 
冬至を過ぎても、実際には日が短く夜を長く感じる時期はまだまだ続き、寒さはむしろ厳しさを増していく季節。暗さが底を打ったという体感はありません。しかし、これからは確実に日が長くなっていく。易はそんな「今後の変化の微かな予兆」を捉えようとする考え方です。
たとえば、西洋の星占いでは、春分(三月二十日頃)が区切り。春分の頃は寒さが緩む日も増えて、チューリップや桜など華やかな春の花が咲き始め、はっきりと春の気分を感じられる頃です。東洋の多くの占いでは、立春(二月四日頃)を始まりとするものが多いようです。立春は寒さの只中にあるものの、水仙や梅など早春の花の香が漂い、春に向かう予感を感じさせる時節。
それに対して冬至は、立冬と立春の間で冬の半ば、太陽暦の新年もまだ迎えていませんし、寒さもこれからが本番です。春の兆しは感じられません。しかし冬も半ばを過ぎたということは、次に春が控えているということ。そして日の短さが底を打ったということは、流れが転じるということ。体感的には変化を感じられないくらい早い時期に、次の流れに着目する視点を持つのが易。それは、目では見えない水面下の変化を捉えようとする視点、ともいえます。
 
人は意識しなければ今盛んなものに目を捕らわれるものですが、現状だけに気を取られていると、未来の変化への準備を怠ってしまいがちです。常に次に来る流れを視界に捉えて、少し早めに心構えをする。易では終始、次の段階を視野に入れるような、広い範囲で物事を捉える視点を重視します。
 
年末近くなると時の流れがあっという間に感じるもの。忙しい時間の中でつい目の前のことだけに注目してしまいがちですが、年末の忙しない空気に呑まれずに、早めに心の準備をしながら、新しい時間に向かっていけるように。今年も残り十日ほどの冬至ですが、次の時間の流れへの準備をしていくような過ごし方をしたいと思います。

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