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体調不良 feat.生姜あんかけうどん

コロナワクチンの4回目を接種したら、わかりやすく副反応が出た。発熱、関節痛、頭痛。37度台後半を示す体温計を、憮然として見つめる。

身体を横たえ、オットに連絡をする。「案の定副反応が出たので、今日はもう店じまいです。」
彼からの返事は「せやろせやろ」だった。

コンディションが宜しくないときの自分をあまり信用するな、とはよく言う話だが、役満みたいな体調不良のさなかで、私はめちゃくちゃに荒ぶり、ほんの一瞬だけそんな自分であっても正義なんだと信じて疑いもしなかったのだと思う。
条件反射みたいな速度で「なんでそんなに嬉しそうなの」とオットに返していた。対してオットからは、泣き顔のスタンプが送られてくる。

パートナーが体調不良で嬉しいわけがなかろう。オットはきっと、もともとそんなに身体の強くない自分が副反応に倒れてもおかしくないよね、の気持ちで返信したのだ(そして実際あとから聞いたらその通りだった)。

ありもしない正当性が自分にはあると信じて誰かにつっかかる、そんな私は、高熱にうなされ鼻をずびずびとさせているよりも、よほど格好悪くてどうしようもない。本当によくない。本当によくない……。

いたたまれない気持ちになって「生姜スープ食べたい」とLINEを送った。「生姜あんかけうどんみたいのでいい?」と確認される。
ツマにたくさん食べさせたいオットは、かならず私の要望に対して炭水化物をプラスオンしてくる。永遠に痩せられないなあ、と思いつつ、すんなりそれを受け入れてしまう自分がいる。

その日の晩御飯は、野菜と生姜たっぷりのあんかけうどんだった。
オットにありがとうとごめんねを言い、大どんぶりに二玉のうどんを平らげた私は、翌朝には平熱に戻っていた。

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