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ピザと、バック・トゥ・ザ・フューチャーと

わたしには好きな人たちがいる。
行きつけのブックカフェの店長さん夫妻、そして常連さんたちだ。

彼らと話すのは、だいたいの場合「どうでもいい話」。

例えばこの間は、『じんぼうちょう作文』をやった。
「じ」から「う」までを頭文字として七文字使って、作文を完成させるというものだ。
大のオトナが揃って「『ん』をどうやって頭文字に使う……?」なんて言いながら、エンピツ片手に四苦八苦していた。

みんな、遊びにとても真剣だ。
タモリさんの「まじめにやれ。仕事じゃねえんだぞ」の言葉を、ふと思い出す。

彼ら彼女らにとって、遊びはただの息抜き(≒OFFモード)じゃないのかもしれない。
じんぼうちょう作文をどうやって作ろうか考えるようなことは、ある種のライフワークなのだ、きっと。

彼らとは、仕事の話をしない。家族の話も、あまりしない。
それでも不思議なことに、ちょっとした友人よりも遥かに、自分のことを知ってもらっているなと思う。

何かしらのギブを求めて繋がったわけではないのに、そうした期待感に根ざしたつながりよりも、遥かに多くのものをいただいている。
両腕に収まりきらないほど、たくさんの豊かなものたち。


ああ、もう一つあった。
彼らとの「どうでもいい話」。

夜、店長さん夫妻が頼んでくれたドミノ・ピザをつまみながら、お店のモニターに映し出された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をみんなで鑑賞した。

神保町の夜が更けていくなか、愛すべき人たちとピザを頬張って、わたしは確かに幸せだったのだ。

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