道民VS黒いG -我が戦いの軌跡-

唐突だが、私は道民=北海道出身だ。
で、本州以南の人によく聞かれるのが「北海道ってG(真名は書きたくない)出ないんでしょ」である。
そして、「道民はG見たことないから怖くないってホント?」のコンボが来る。
だが、そうでもない、どころか真逆の人間もいますよという話し。

私は幼少期を超えたくらいから、虫に嫌悪感を抱くようになっていった。理由はよくわからない。カブトムシやクワガタのオス(大きな角がある虫)はカッコイイという先入観があったためか、つかむことができた。しかし、それ以外の虫は全く受け付けなかった。

特にキライだったのが、クモである。ジョロウグモやオニグモの類はもちろん、木の根元あたりにいる繊細なアシナガグモやコンクリの隙間にいる赤い小さいやつまで、大っ嫌いであった。

他にも、住んでいたアパートの前でアリ?みたいなデカイヤツが大量発生したときや、祖父母の家の近所にあるお寺でカメムシが大量に張り付いているのをみたときなど、嫌な思い出だらけである。

しかし、子供ながらにこのまま虫嫌いでは一人暮らしもできないのでは?という疑念が出てきた。そこで、なんとか克服しようと思いついたのが、嫌いな虫全てについて、「Gよりはマシ」と思い込むことだった。北海道にはGがいないのだから、すべてのヘイトをGに背負わせることにしたのだ。

が、なんと小学校4年生になるとき、親の転勤により東京に引っ越してしまった。そして、やはり遭遇してしまった。サイアクである。
特に最悪だったのが「G配達事件」である(今、命名した)。
ある日、一人で留守番をしていると、北海道の祖母から荷物が届いた。なんだろうなと開けてみると、じゃがいもなど北海道の農産品が入っていた。中身を確かめていると、荷物の中で黒い影が動いたのが見えた。その瞬間、直感した。
「ヤツがいる」
即座にフタを閉め、ベランダへ持ち出した。そして、放置。1,2時間ほどして両親が帰宅したので状況を話したが、気のせいだと言われ、そのまま家の中に戻そうとする。私は必死になってGが入っていると主張した。根負けした父親がベランダで荷物を確かめていると、果たしてヤツが出てきたのである。
その後、原因について考えると、祖母は使い古しのダンボールを使っており、その側面には持ち手になる穴が空いていた。どうやら、どこかの宅配物集積場で、そこから侵入したらしい。
以来、私は荷物を送る際には絶対に穴を塞ぎ、届いた荷物に穴がないかチェックするようになった。
そんなこんなで、東京ぐらしも終わり、中学校への進学時に北海道へ戻ることになった。

中高の時代は前述した「ヘイト押し付け作戦」により、ある程度虫嫌いが表出しない暮らしができていた。
ところが、何を血迷ったのか調子に乗ったのかわからないが、私は本州の大学へ進学してしまったのだ。
一応、東北の大学なのでそこまでGはいないだろうという期待も手伝った。

大学時代には、二回、Gとバトルした。
一度目は洗面台の下にヤツが潜んでいた。体をこわばらせながらも、なんとかGジェットを噴射・・・命中!
「やったか!?」
とフラグを立てると、やっぱりやってない。動きは鈍ったので効果はあるようだ。そこで、次弾発射!
優に5秒は噴射して、ついにヤツは息絶えた。
(なお、これ1秒で死ぬんじゃなかったのか?動かれたら当てるの無理では?とメーカーを恨んだ。)

二度目は更に恐怖であった。
夜12時頃、私はPCで動画を見ていた。イヤホンをつけていたので周囲の音はあまり聞こえなかったと思うが、私の耳はたしかに「カサッ」という小さな音をとらえた(霊感はないがG感は鋭いかもしれない)。
そして嫌な予感とともに振り返ると、壁の高所にGがいた。
「Gジェットは!?」と場所を思い出すと、なんと他のモノの下敷きになっている!(前回の遭遇からまる二年経っていたので油断していた)
探している間に見失えば、全てが終わる。
と、悲愴な覚悟(当人比)を固め、私は近くにあったチラシを丸めて装備した。
勝負は一発で決めねばならぬ。と意気込み一気に振り下ろした。
その瞬間、Gは新たな技を見せた。
そう、飛翔したのである。
翔ぶのはサイタマだけにしてくれと思ったかは定かではないが、再びパニックである。Gを野放しにしたまま就寝などできない。
私はチラシ棒を構えたまま、ヤツが現れるのを待った。
待つこと1時間半、ヤツはタンスの影に姿を見せた。
勇気を出して、一撃!
「やったか!?」(二年ぶり二回目)
やってません。更に逃走を図るG、そしてチラシ棒を振り下ろすこと、多分5回ぐらい。ついにヤツは動かなくなった。
しかし、Gは死んだふりすらやってのける演技派という事前知識を持っていた私は、追加で数回死体蹴りを行った。(虫嫌いは虫の習性をググりがちである。そして配慮ゼロの写真が出てきてビビる)
そして、その後の死体処理に30分はかけ、なんとか駆除に成功したのである(大怪獣の死体処理のほうが万倍マシ)。

その後は道内企業に就職したため、Gとは遭遇していない。しかし、いつ本州に行くことになるか、そして再戦することになるかは分からない。
願わくば一生縁切りしたいものだ。

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