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私たちは情報と経験を買っている

先日、「フードコンサルが『混んでる店に見せるために、オペレーション悪くして行列作りましょう!』みたいな提案をしてきた」といった飲食店の記事を見た。

めちゃくちゃ嫌だったと同時に、やっぱりなと思った。

やたら並ぶらしいが大したことないお店というのにたまに遭遇する。「あんなに待ってこれかよ」という。そういうお店の食べログを見ると褒めてる投稿もあるが、「並んだから悪く書きたくないんじゃないの」と思ってしまう。私は特に食に関して待つのが嫌なので(人生の時間は限られている)、その時点で「オペレーションどうにかせいよ」と思って悪印象なのだが。

そう思うようになったきっかけは『ザワつく金曜日』という番組だった。出てるお三方が好きで毎週見ているのだが、番組内でお取り寄せスウィーツを食べるコーナーがある。ネット予約オープンと同時に即売り切れみたいなスウィーツである。でも、実食したら正直な彼らのリアクションがそこまでじゃない時があった。

中には本当に美味しいものもあるんだろうと思う。しかし数個入り3,000円代+送料みたいなお菓子が、そんなに飛び抜けて美味しいものだろうか???と気付いたのである。3,000円代という“手を出せない額じゃない+まぁそこまで感動しなくてもクレームになりにくい値段”というのがまた憎い。

人はレアなもの・限定ものに弱い。「できて3分しかもたない!」とか「1日6組限定!」とか言われると、1度体験してみたい・そこに含まれてみたいと思ってしまう。しかし例えばン十年待ちのコロッケなんて、正直どうかしている。コロッケをそんなに待ちたくないし、多分ン十年後は発注したことを忘れている。作り手を増やせ・原材料を安定確保せよ、と思ってしまう。

別にいいのである。行列するのも、レアスウィーツ購入にチャレンジするのも、止めようぜと言ってるのではない。その行為自体を一種のエンタメだと思えば、時間とお金をある程度割くのは構わない。でも私は巻き込まれたくないし、何よりそういう人間の心理を利用したシステムに振り回されたくない。であれば、安定供給を含め誠実な経営を続けてきた老舗にお金と時間を使いたい。

流行り廃りは世の常である。しかし“流行り”を意図的に作り出すことで“廃り”を遠ざける小賢しい人々の存在を知った。そんなものに本来回るべきではないお金が吸い込まれ、腰を据えて地道に商売を営んできた人たちが後回しになるのは私は嫌だ。なので

・席数多いのに絶対予約できない or 回転が悪い
・予約可能数があまりにも少ない
・最近できたばっかりなのにやたら話題

みたいなのは避けようと思う。

写真は上野池之端の伊豆栄さんです。多少値上がりしてもいいから続いてほしい。

お読みいただきありがとうございました。今日が良い日でありますように。