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寄席を止めるな

【寄席の危機に想いを寄せて|江戸から続く落語・寄席文化存続にご支援を】
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寄席を「よせき」と読んだトンチキがいたらしい。

落語を聞き始めたのは昨年の5月からである。コロナにより元々好きだった歌舞伎が全く観られなくなった。オンライン配信もあったが、元々が大掛かりな舞台ということもあってかなかなか「充実」というわけにはいかなかった。

そんな中、前年の大河ドラマ『いだてん』で落語指導をされた古今亭菊之丞師匠がYouTubeチャンネルを開設し、配信を始めた。その楽しさ・見事さ・華やかさにまんまとハマった。

そしてそこで出会ったのが古今亭文菊師匠だった。ずっぽりハマった。その清らかさ・緻密さ・奥行きの深さは止まるところを知らない。オンライン配信に始まり、独演会にもお邪魔した。その空間をまとめ上げる力にグッと引き込まれた。目の前で繰り広げられる古典の世界と、チャーミングな人物描写に心を掴まれた。

ありがたいことに沢山の噺家さん・講談師の方々が配信を始められ、今まで全く知らなかった世界を覗き見ることができるようになった。なんせ、少しのスペースとお座布団と小道具があればそこが舞台になってしまうというフットワークの軽さ。その幅の広さ・奥深さは計り知れない。

その噺家さんたちのホームである寄席が、いま最大の危機に瀕している。私もほんの数える程度しか行ったことはないが、老若男女のさまざまな芸を楽しめる寄席は歌舞伎とはまたベクトルの違うエンタメで、本当に奥が深かった。入れ替わり立ち替わり色んな種類の演芸が繰り広げられる。生でジャグリングや都々逸や紙切りを見たのは初めてだった(結構興奮した)。そしてトリを務めた文菊師匠。その日は『幾代餅』で、客席が一体となってハッピーエンドを喜ぶという得難い体験をした(映画館ではあんまり拍手しないしね)。この一体感はやはりオンラインでは得にくいものだ。

言っちゃなんだが、この状況下で寄席も歌舞伎も99%のお客さんはルールを守って観劇している。だって演者さんスタッフさんに迷惑かけたくないもの。席数を半分近く減らし感染症対策を徹底している運営の皆さんのご尽力は、本当に頭が下がる。GWに再度の緊急事態宣言で閉めることを余儀なくされたが、たかが知れている観劇者数を押さえ込むより日々の通勤を本気でstopした方が、人流抑制には効果的なはずである。「人流を抑えるために電車の本数を減らした」のと同様、政府のやることは終始トンチキだと言わざるを得ない。

文菊師匠は言う。「噺家の数だけ正解がある」と。そして色物さんと呼ばれる方々の芸。本当に日本の大切な文化だと思う。その存続と発展を願い、心ばかりの応援をさせて頂いた。エンタメは、特に生の舞台は、何物にも代え難い心の栄養である。コロナ禍でそれを痛感した。

伝えたいことの半分も表せていないが、何かアクションにつながれば幸いである。

お読みいただきありがとうございました。今日が良い日でありますように。