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サボテン成長記🌵

昨年春、伊豆のシャボテン公園に行った。最後に訪れたのは約30年前だと思う。ほぼ記憶にないと言っていい。しかもなんとなく近くの“バナナワニ園”とごっちゃになっていて、あちらは映画『テルマエロマエ』のロケ地として映ったために私の脳内では「シャボテン公園にワニがいる」という事実誤認が起きていた。

久しぶりのバナナワニ園、じゃなくてシャボテン公園は期待を上回る楽しさだった。特にサボテン狩りゾーンで私の興奮はMAXになった。小さなサボテンをいくつか選んで鉢植えにし、お土産にできるというのである。しかもサボテン公園の名に恥じぬくらいたくさんの種類があった。

個性あふれるサボテンたち

お分かりいただけるだろうか。しかも写真はごく一部である。最初「あれ、ワニいないんだっけ」と少々落胆したことなど忘れ、私は嬉々としてサボテンを連れ帰った。

そこでひとつ問題が起きた。当時私は寒冷地に住んでおり、伊豆の温室と自宅の気温差はおそらく15℃以上あっただろう。河津桜が満開の伊豆から連れ帰ったその日は、あろうことか小雪が舞っていた。「サボテン=メキシコ=ひりつく暑さ」という図式が脳内にあった私は、少しでも温暖な環境を与えられるよう比較的日当たりの良い窓辺に彼らを据えた。「2年後に花が咲きます」という種類のサボテンを連れ帰ったために、絶対に枯らしたくなかったのである。

寒冷地のささやかな日の光を健気に浴びるサボテンたち

厳しい寒さに彼らは耐えた。やがて寒冷地にも遅まきながら春が訪れ、気候は安定した。

1ヶ月後

マメな世話のためか、1ヶ月後ですでに鉢がキツそうである。バニーという名のついたサボテンは分岐の予測がつかず、その変化を眺めるのが面白かった。

マメと言いながら写真を全然撮っておらず、話はいきなり1年後へ飛ぶ。

反抗期のような姿

お分かりいただけるだろうか…指示書に従い植替えをしたのが5月ごろ。肥料的なものはあげておらず、いいのか分からないがたまにお米の研ぎ汁をあげていた程度だったが、水やりのペースを守って育てた彼らは枯れずに成長した。しかし新しい鉢もあっという間に手狭になり、彼らは互いを牽制し合いながら日の光を求め上に伸びた。いま見るとやはりちょっと不健康そうである。人間にも植物にも、成長のためには適切な環境配置が必要ということがよく分かる。

さすがに3株それぞれに鉢を与えた方が良かろうと思い、また指示書に従って植え替えをした。土を慎重に払いつつ見てみたら写真右端の根っこが1番強く張っており、他の2株に絡みついていた。絡まれていた2株には申し訳ないことをしたと思っている。

そして3株を分けて植えたのがいまの姿である。ひとつ部屋に押し込められていた3兄弟が個室を与えられ、それぞれが伸び伸び育ち始めた感がある。

すくすく育ってね

おりしも私の異動が決まり、彼らを温暖な関東へ連れてくることができた。温暖というかメキシコさながらではと思うほどの暑さだが、なんとなく彼らもイキイキしている気がする。現にバニーからは新しい分岐が生えてものすごい大きさになっているし、1番根の強かった株は葉先の茶色い部分がなくなって横に新しい株ができている。最初の写真と比べていただきたいが、1年でものすごい成長ぶりである。人間も確かな成長のためには、やはり根を伸ばすことが肝心なのだと痛感した。

心配なのは花を咲かせたい1番左の株だが、トゲがピンピンしているので大丈夫だと信じている。横着をして彼には鉢代わりのそば猪口しか与えられず、しばらく窮屈な思いをさせて申し訳なかった。今日ちゃんとした鉢にお引越しさせたので、しっかり育ってほしい。

しかしこのペースでどこまで育つのだろうか。ちょっと不安である。

お読みいただきありがとうございました。今日が良い日でありますように。