ワンコがくれたもの
動物が苦手だと自負していた私が、まさかワンコを飼うことになるとは。
ワンコの本能である『舐める』という行為にすら抵抗があり、少しでも触れ合うものなら、速攻でゴシゴシと手を洗うような徹底ぶり。
なぜ今一日の大半をこの仔達と過ごしているのか。
私と主人は結婚して3年を迎えようとしている。私はバツイチで子連れ再婚。主人は初婚だ。
再婚をすると決まって出るのが【子供】の話。私が年齢的に微妙だったので、主人とは何度も話し合いをした。結果、『息子以外に新しい命を授かることはしない』が結論として出た。(主人は珍しく?自分の子というものに執着がなく、子供をつくるつくらないで決めかねてたのは実は私の方)
そんなある日、たまたま入ったペットショップで「この仔ですね~抱っこしてあげて下さい!」と店員が連れてきたのが、真っ黒な毛のポメラニアン。本当は真っ黒なチワワ見てたんだけど(笑)
片手で持てるほどの軽くて小さな命を恐る恐る抱いてみると…可愛い!いやそれより先に出てきた言葉は「臭くない!」だった。
においに敏感な私は、今までどのワンコを抱っこしても5分ともたなかったのに、このポメラニアンだけは違った。全く獣臭がしないのだ。ずっと抱っこしていられる。というか、なにこの仔。可愛い!!
ふと隣を見ると、主人の目がキラキラして顔がにやけていた。
家族会議をし、うちの仔として迎え入れることを決めるまでにそう時間は必要なかった。
黒くておめめくりくりなその仔は『おと』と名付けた。
これがポメラニアンおととの始まり。
自宅に来たその日から、我が家の生活スタイルは劇的に変化した。
朝晩のごはんはもちろん、トイレトレーニング。
月齢が上がってきたら散歩にお風呂。
初心者の私たちだが、家族で協力しながら取り組んできた。
そして、リビングに集まる時間が増え、今まで以上に会話が増えたのだ。
こんな小さな存在が、新しい空気を呼び込み。家の中の雰囲気をさらにいいものに変えるなんて、ワンコの威力は計り知れない。
日々格闘しながら過ごしてきたが、生後3か月で我が家にやってきた『おと』も無事に1歳を迎え、成犬へと成長した。
吠えたり、噛んだり手に負えないこともある。
新築の壁紙はボロボロ。いたずら大好きで叱ることもしばしば。
でもね、帰宅すると真っ先に走ってきてもふもふさせてくれる、ただそれだけで幸せだな~と思える瞬間、時間をくれる。
あんなに抵抗があったペロペロ攻撃も、今ではもっとして~って思っている。私の中にこんな感覚があったなんて、これも新しい発見だ。
おと、うちの仔になってくれてありがとう。
そして、一番おとを可愛がり面倒をみている主人を見ていると、本当に優しい人なんだな、と改めて尊敬する。
あの時、【おとを飼う】という選択をしたから今の毎日がある。
今までとは違う観点で周りを見れるようになり、外の空気や景色も新鮮なものになった。
おと、ありがとう。
動物嫌いの私がワンコを飼ったら世界が広がった。
ただ疲れていただけの毎日が、いい意味で刺激的になった。
これからも可愛くてもふもふで健康に、一緒に楽しく過ごしていこうね。
よろしくね、おとちゃん。
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