見出し画像

【短編小説】3年ぶりの再会

あれから3年か…
彼と別れて3年
忘れられずにいた

彼は優しかった
だが優しすぎた
私にも 誰にでも…

だから こっちから別れを切り出した
そんな彼と偶然 再会した
地元のバーガーショップの受け取り口

「久しぶり」
彼から声をかけてきた
彼の隣りには ほんわか笑う女性がいた
お似合いだと思った
悔しいけど…

「こんにちは お久しぶりです」
ちょっと他人行儀っぽく
事務的に挨拶した

彼の為に
その女性の為に
何よりも自分の為に

「この人はね 元カノさんだよ」と
私のことを女性に紹介した

私は慌てて
「そんなこと言ったら彼女さん心配するんじゃないの?!」と言うと

「こんにちは はじめまして」とニコっと
微笑み会釈してくれた

ああ、勝てない…
一瞬にして、そう感じた

それから 何か ちょっと会話はしたと思うが記憶がない

二人並んで帰っていく後ろ姿は
本当に 微笑ましく
本当に 幸せそうだった

「よかったね…
うんっ よかった
幸せそうで よかった」

自分に言い聞かせるように呟き
店をあとにした

「ああ、しょっぱい 涙でてきた…」
今日のポテトは、やけに塩がきいていた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?