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米と郷土玩具と竹田と私。

朝6時半。私はいま、竹田市のとある場所にきている。

ここに訪れる、前日のできごと。日中、姫だるま作りをしていた私は、居酒屋のカウンター席で、1人食事を楽しんでいた。すると隣に座っていた男性が話しかけてきた。年は、60代半ばくらいだろうか。

「お姉ちゃんの、お刺身おいしそうだねぇ」

私は昔から、知らない人に話しかけられる習性がある。だからこういうことには慣れていた。けれどもこの日は、慣れない作業に疲れていた。私は会話を続けようとはせず、若干面倒くさそうに愛想笑いをしてから、すぐにKindle Oasisに視線を戻した。放っておいてくれ。私なりの精一杯のアピールだった。

けれどもおっちゃんは、屈することなく、しばらくするとまた話し掛けてきた。「今日は何しに竹田にきたの?」はぁ、とため息が出そうになった。察しないおっちゃんに、若干もどかしさを感じたものの、元来人と話すのが好きな私は、素直に話すことにした。

姫だるまを作りに、何度も竹田市に訪れていること。郷土玩具に興味や疑問。とても興味がある話とは思えない。けれどもおっちゃんは、さっきまでの表情とは一変、真剣な表情で私の話に耳を傾けていた。話が終わると笑顔に戻り、こう言った。

「竹田市に、興味を持ってくれてありがとう!!おじちゃんはね、米を作っているんだ。アナタにぜひ、僕の畑を見てほしい!」

田んぼを見せたい…。一体どういうことだろう。義実家の米作りを手伝っている私にとって、田んぼを見ることは、決して特別なことではない。あぁ、そうか。今はお酒の席なんだ。社交辞令だと思った私は、「わかりました」と歯切れ悪く返事した。

ところが話を続けていくうちに、おっちゃんは、とんでもない人だということが、徐々に分かってきた。

※人物を特定させないために、この記事では「おっちゃん」と書いています。

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