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夫、時々ダイビング。

今日は約2ヶ月ぶりのダイビング。

この日、夫の徳ちゃんは、どこか落ち着かない様子だった。ダイビング前日も、「誰とバディ組むのかな」、「うまく潜れるかな」と、やや後ろ向きな発言を繰り返すばかり。

楽観的な夫が、どうしてこんな風になったのか。それは先日私が、DM講習(ダイビングのプロコース)を受講の宣言したからだった。

夫の楽しみの軸は「春奈と一緒に何かをすること。私が何かをはじめると、必ずと言っていいほど「俺もする!」スタンスだ。

ダイビングをはじめたのも、MSD(ダイビングのアマチュアの最高峰)の資格を取得したのも、きっかけはいつも「春奈がするから」。夫は自分の気持ちはそっちのけ。けれども気持ちは、きちんと後からついてきて、私と同じように楽しみ、喜んでいた。同じ時間を共有し、楽しみを分かち合う。私にとっても、かけがえのない時間だった。

けれども今回はどこか違ったようだ。「俺もDMを受ける!」と宣言後、夫はダイビングに対して迷走していた。何のためにプロを目指すのか。俺はただ、春奈と楽しく遊びたいだけなのに。自然とこんな言葉を漏らすようになっていた。

DMコースの、厳しさと大変さを知っているからこそ、不安がよぎったのかも知れない。

次第に夫は、海に行きたいと言わなくなっていった。

不安な思いを胸に抱える夫。今日、DMのたっちゃんから「はっち(私)とバディだよ」と発表があると、満面の笑みを浮かべた。

とっても嬉しそうな徳ちゃん

この日ほど、バディダイブができて嬉しいと思った日はないだろう。夫の笑顔を見て、私も内心ほっとした。そして今日は、夫に海を楽しんでもらうんだ。私は一人、心の中で決めていた。

1本目は私が夫をガイドした。

私たちは、水深3メートルくらいのところで潜航した。するとすぐに、イサキの群れに遭遇した。群れを見るのが好きな夫と私。生物が、私たちを歓迎してくれているようで、心が弾んだ。ガイドも一層気合が入った。

排泄中のタツナミガイ

貝の仲間のタツナミガイ。「これはイカ?」と夫が聞いてきたが、たしかにコウイカにも見える。違うよと答え、タツナミガイをくすぐり、紫色のもくもくを披露すると、夫も思い出したようだった。

この時期限定の、婚姻色のオハグロベラや

婚姻色のオハグロベラ

アナハゼなども紹介した。

アナハゼ

年中潜っているからこそ、生物の変化がわかる。だからダイビングはおもしろい。

その後はゆっくりと、目的地のP3に進んだ。1、2ヶ月前は、わかめ一色だった志賀島。今日潜ると、わかめは溶け、砂地や岩が、しっかり確認できるようになっていた。

潜るたびに、いろんな表情を見せる志賀島は、一筋縄では覚えられない。今日のように、地形が分かりやすい日はガイド日和だ。私なりの目印や、コンパスの使い方を夫に紹介しながら、ゆっくりゆっくり進んでいく。夫もそれに応えるように、「どの角度に進んだらいいの?」と聞いてくる。

私は迷うなく夫をP3へ連れて行き、そして帰ってくることができた。「はっちのガイド、完璧だったよ!」と喜ぶ夫。私自身も、自分の気づかないところで、成長しているのを実感していた。

2本目は夫のガイドでダイビング。

P8にしか行けない夫は、この日もP8に行く計画を立てた。簡単なルートかもしれない。けれどもそれでいい。

ガイドする側と、それについていく側。立場が変わると意識もまったく変わる。お互いの立場を知れば、より安全に、そして協力してバディダイビングがきっとできる。そう信じているから、ふだん私がガイドすることが多いのだが、今日はあえて夫にお願いしたのだ。

「P8なら俺に任せろ」と言わんばかりに、左手で進む方向を示す夫。

ちゃんと私がついてきているか、方向は間違っていないかなど確認しながら、ゆっくりと進む。安心して夫にガイドを任せられる。そのおかげで、生物探しに集中できた私は、大好きなタコを発見した。

岩の下に隠れるタコ

大好きなタコを30分ちかく、じっくりと観察する。こんなことができるのも、夫婦でバディダイビングができているからだ。

タコの足に指を近づける様子

指とタコ足でご挨拶。私たちが、タコからしつこく離れないものだから、タコの警戒心も徐々になくなっていった。

その後はP8で10分ほど遊んだ。帰りはややそれたが、それでも1度も浮上せず70分間のダイビングを楽しんだ。

さて、今日のダイビングの感想はこのとおり。

ログブックのコメント

夫の前向きなコメントを読んで、私は心の中でガッツポーズ。ほっと胸をなで下ろした。

徳ちゃん。今日のように出来ることをつなぎ合わせながら、これからも一緒に、ダイビングを楽しもうね。

海って奥深い。だから楽しい。

わぁぁーーーー!!が、、、頑張ります!!