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呟怖〜生霊〜

#呟怖
#生霊

生霊を飛ばされ体調不良を訴える友人が
誰が飛ばしているかを見てほしいと頼まれ
生霊を飛ばした人物を特定して驚いた。
職業がホストなので彼に入れこんだ挙句
捨てられた女性達だろうな思いきや…

“うん、確かに生霊飛ばされてたわ“と私
“やっぱりな?んで誰だ?“と彼。
“うん、それがな“と私。
“何だよ歯切れの悪い、はっきり言えよ“と彼
“うん、言いにくいんだが、これお前“と私。
“は?何言ってんの?俺が自分に生霊を
飛ばしたとかマジで言ってんの?“と彼。
“嫌、冗談みたいな話だがマジ話だ“と私。
“え?どういう事?“と彼。

確かに彼はホストだし
売上を伸ばして生き残る
為にある程度の嘘や方便は
致し方ない所もある。

コロナ禍により何処も
水商売は火の車である、
老舗の名店もコロナ禍の影響で
閉店を余儀なくさせられた所も
少なくない。

彼の勤務するホストクラブも
売上の低い者を切り捨てねば、
経営が成り立たない所迄、
追い込まれていたと聞く。

そうなればなりふり
かまってはいられない。
ライバルを蹴落とし
客を騙してでも
売上を上げねば
明日の己の命すら
危ういのだから。

誰もが心に後暗さを感じつつ
其はやむえぬ事
そう割り切って
やっていたに違いない。

だが彼は元来真面目な奴で
そういう事が苦手、
正直ホストは彼には
向かないタイプであった。

だが何故か彼は自分には
この道しかないと
思い込み自らの罪悪感を
心に押し込んでいた。

だがその押し込んできた
感情が遂に耐えきれず
其が生霊となって
彼を襲ったと言う訳である。

嘘みたいな話だが
実際自らが作り出した
生霊に自ら苦しめられる話は
少なくない。

このまま彼がこの仕事を
続けていたら早晩彼は
自らが生み出した生霊に
憑り殺されてしまう。

そう彼を説得し
彼は泣く泣くホストを卒業した、
今彼は配送業務に勤しみ
額に汗して働いている。

収入はホスト時代と比べて
激減したがその後、
彼の生み出した生霊は
彼から完全に消え去り、
その笑顔はホスト時代より
輝いていた。

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