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運用体制をつくりあげることがWEBサイトの仕上げ

企業WEBサイトに関するご質問をいただく中で、もちろんリニューアルどうしたらいいですか?というのが一番多い。当然と言えば当然でこちらが制作会社だということから、新しく作ってください、修正してくださいというのがご相談事項の上位にくるのは間違いないわけです。

制作会社がどのようにサイト制作を進めるかというプロセスはそれぞれ制作会社の特徴がありますし、お客様からのご依頼内容にもよって変わるのでひとくくりにはできないのですけど、リニューアルとなった場合、現状のサイトから業務の内容を理解して、お客様にいくつかインタビューさせてもらって、どういう流れで普段のビジネスをされているのか?競合他社はどのようなところか?その他テクニカルな情報をもらって、おおよそのご提案をする。スケジュールやお見積もりもこの時点で提示されるでしょう。で、了承をもらったところから、ご担当の方からサイトに掲載する素材を頂戴する。コピーであったり文章であったり図表や写真もあるかもしれません。何度か制作依頼をして慣れていらっしゃる担当の方だと、もう当たり前のようにさっとこれらの素材を出してくれますが、案外多くはここは現状のままでいいからと言われると制作会社はサイトからコピーしてそのまま原稿として使ったりします。

一方これらの素材が出てくるのが異様に遅い場合もあり、制作会社は本当に困まります。数行程度の商品の説明文が届くのに3ヶ月かかったなんてこともありました。もちろん事前に提出してもらうスケジュールは組んであり、催促も何度かしたにも関わらずです。
こうなると制作会社としては見積もりを再提出したくなります。こっちで素材用意しましょうか?と言い出してるかもしれません。押さえていた制作者のスケジュールが狂ってしまうわけですから。(事前の契約がダメなんじゃない?…という話はもちろんあるんですけど…)
古い話で申し訳ないですが、わたしたちがWEBサイトを商いとし始めた頃は、WEB制作会社は依頼のあった企業の素材一式自分たちで揃えていました。原稿もコピーも一生懸命考えて書いていた。商品やサービスの説明も紙のパンフレットもらって、さらには書店や図書館に通って調べて書いたりしていました。専門のライターさんにお願いすることもありました。これは今でもあると思います。
依頼する側も依頼される側もWEBサイトになにを掲載すればいいのか?どのように使えばいいのかわからないままでしたので、試行錯誤していたのです。制作会社としてはそのノウハウを蓄積したいが故に自ら作業していたし、依頼した会社もそれを添削しながらどういう文章を書けばいいのか共に考えていたのです。

話を元に戻すと、WEB用の素材の収集が遅れる場合、制作会社のことはともかくとして、社内の事情が大きく左右しています。いくつか理由があるのですが、まず、社内にWEBの担当者がいない。いても会社のオフィシャルな情報を自分の判断で公開できるような権限がない。要するによくある「原稿集め」を社内にお願いすることになっているのですが、企業のオフィシャルサイトですから、原稿依頼するにせよ、それぞれの担当部署に依頼してかきあつめるわけです(文字通り「書き集める」)。
中には自分より上席の方に依頼しなければならないし、苦手な人にも頼まないといけない。さらに皆さんがWEBサイトに好意的に協力してくれるわけではなかったりすると、ある意味担当の人も自分の責任は依頼すること、原稿が出てこないのは私の知ったことではないとなってもおかしくない。
もうサイトを制作する前段階で躓いてしまう。
制作会社側は素材が遅れるという経験は多分にありますから、その事前策として、体制をちゃんと作って下さいね。サイトの目的に沿った形のコンテンツにしましょうねという意味を込めておそらく、サイトの目的は?とか運用体制は?とか何度か質問しているはずです。
ただ単純に作って下さいという依頼を警戒はしている。
サイトの方向性や体制が決まっていない状況で制作開始するとこのようなことが起こりやすい傾向にあるわけです。
ところが、実際は素材さえある程度揃えばWEBサイトはできてしまったりするわけですし、依頼のご要望には応えたことになってしまうので、制作会社はとにかく時々催促して待っていれば、なんとかなると考えているわけで、決してそれが企業のビジネスにとって、依頼した会社にとって、よいサイトかどうかどうかは、とりあえず後回しにしてしまう。

そんなわけで、リニューアルの完成形は運用体制も作り上げることなのですけど、むしろ、完成形というより、リニューアル前に、制作を依頼する前に、体制を検討しておくことが必要だと思うのです。
一方、運用体制を作り上げることはサイトを作り上げることより遙かに難しいことであるというのことも承知の上ではあるのですが…。

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