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投資失敗時に読むべき本② 「がん闘病日記」

森永さんは、情報発信の鬼だと思います。
ご自身が見聞きされた幅広い知識を踏まえて考えたことを、とてもわかりやすく他の方へ伝える。そして、そのメッセージはいつも、みんなが何となく考えていることの「半歩先」にあります。
著書の「年収300万円時代を生き抜く経済学」がベストセラーになったのは、2003年のことでした。一億総中流という言葉で表現されていたように、この本が出るまでは低所得世帯が多数存在することはあまりフォーカスされていなかったのです。でも、実はごく少数の富裕層が出現する一方で、多くの国民は収入が下がり生活が厳しくなっていました。格差社会が進行していたのです。それはゆっくりとした変化であるため、当時はそのことが十分に言語化されていませんでした。そのことをズバリ表したのが、「年収300万円時代」という言葉だったのです。

その後も多数の著書を出し、テレビでも引っ張りだこだった森永さんですが、最近になってがんと闘病していることを発表されました。
本書は、その闘病に向かう姿を、本人が著したものです。

がんになると、どういうことが起こるのか。
本を読んでいくと、なるほどと思うことばかりです。
例えば、がんに罹患していることを発表した後、治療方法のアドバイスがメールで殺到したそうです。もちろんこれは、有名人であり交友関係がとても広い森永さんだからこそです。でも、程度の違いはあれ、一般の方でも親族や友人などが様々なアドバイスをくれるということは想像がつきます。
アドバイスは、何種類かのパターンに分かれるようです。
まずは、精神論として前向きにというパターン。もう少し極端になると、宗教のすすめということになるようです。
また、がんに効果のありそうな水、ビタミン、キノコなどの紹介がとても多いようです。
もちろん、がんに対して何が効果的なのか、今の医学でも完全に解明できているわけではないので、どれが本当でどれが嘘と明確に判断できるわけではありません。
ただ、本当にどこまで効果があるのか、怪しげなものから信ぴょう性の高そうなものまで、いろいろと話が持ち込まれるというのは、分かる気がします。
相手ももちろん善意で紹介してくれているので、むげに断るのも難しいですしね。なかなか悩ましいものです。

こんな感じで、いつもの明快かつ分かりやすい語り口で、がんになった自分の生活を紹介してくれています。
その中で私が強く引き込まれたのは、森永さんが多くの夢を持ち続けているということでした。

著書の中で、森永さんは昔から持ち続けてきた夢について語ります。
歌人になりたい、歌手になりたい、童話作家になりたい。
ただの夢というわけでもなく、過去にも実際にいろいろ試しているようです。
本の巻末には、森永さんが執筆した童話が数編はさまれています。
短い話ですが、どの童話もちょっとブラックで風刺が効いています。

そして、闘病の最中でも、多数の著書を書き続けます。
昔よりもさらに舌鋒鋭く、他の人なら躊躇するようなことまで明確な文章で書ききってしまうのです。

『ザイム真理教 それは信者8000万人の巨大カルト』(2023年5月)
『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(2024年3月)

どの出版社からも断られたという財務省を批判する本、ジャニーズや日航機墜落事件も含めて世のなかのタブーに切り込む本、多くの人が実名で執筆するのは尻込みするようなテーマに、ズバズバと切り込んでいきます。
闘病中で体が弱っている中、次男の方に口述筆記を手伝ってもらって執筆を続けているのです。

強すぎる。
最近の森永さんの姿勢を見ていると、その強さに圧倒されます
がんの闘病という大きな戦いに挑みながら、同時に世の中のタブーや、日本経済を低迷させ続けてきた元凶を明らかにすることにも命を懸けて挑んでいます。

日航機の墜落が事故ではないという話は、ただの陰謀論だと思っていました。
でも、この森永さんが精魂込めて送り出した著書でこんなに明確に日航機墜落事件の疑惑について説明しているのを読むと、ただの陰謀論ではなく本当に何らかの事件と隠蔽工作が行われたのではないかという気になります。
もちろん、私自身にはその真偽を判断する材料はありません。森永さんの大々的な告発によって、さらに新展開を見せることがあるのか、その動向に注目したいと思います。

投資に失敗した方への本であえて森永さんの本を紹介したのは、森永さんの強さを知ってほしかったからです。
日航機事件の真相がどうかという点は、今のあなたにとって重要なことではないでしょう。
それよりも、自分自身が人生を通して確立した信念に基づき、有名人という立場もかなぐり捨てて主張を続けるという森永さんの姿勢と行動自体に、ぜひ注目してほしかったのです。

強い人は、逆境をも跳ね返します。
でも、その強い人も最初から強かったわけではないかもしれません。自分の信念に基づいて活動しているうちに、いつのまにか強くなっているのだと思います。

私たちも、少しだけ強くなりたい。
森永さんの著書や行動を見ていると、いつもそう思わされるのです。


この記事は、「投資で大失敗した時に読む本」から、ごく一部の内容を抜粋して紹介しています。


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